ベール

裁かるゝジャンヌのベールのレビュー・感想・評価

裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)
3.0
名作と呼ばれるものは一通り見てみたい。そんな気持ちはあるものの、この映画は腰が重かった。陰鬱な宗教裁判をサイレントでやるんだから。デジタルリマスターされたものが映画館で見れるなんて滅多にない機会だし、ようやく見る気になった。

とはいえ、やはりツラい。宗教的リアリティーが腑に落ちない中で見る、裁判ともいえない裁判は延々とパワハラを見せつけられているようで。実際のところ、ある面では変わりない気もする。

最近、小津安二郎の本を読んでいて「表情で演技をするな」的なことが書いてあった。なるほどそういうものかもな、と思っていたところ『裁かるゝジャンヌ』はほぼ全編が極端なクローズアップで表情ばかり見せるのは興味深かった。しかもサイレントだから、なおのこと表情の役割が大きい。

クロースアップでも審問官たちは斜めになったり、下から煽ったりは表現主義的で、その無機質な感じはフェリーニに繋がる気がした。その辺りのキリスト教的なイメージも影響が大きい作品なのかもとは思った。
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