主人公かなえの元から突然いなくなった夫。行方を探すために雇った探偵から言われる「人のことを分かるとはどういうことなのか?」。
たしかに、人は相手の何を知って「その人のことを分かってる」と思うのだろう?どんなに親しくても全てを話すわけでは無いし、そもそも違う人なのだから全てを理解できるわけでも無い。
「アンダーカレント」は人を理解することの難しさを描く物語、地味で静かな展開なのに失踪した夫の事が少しずつわかってくるところにサスペンス要素もあった。
人は誰しも心の中に重荷を持つ。それを共有できる相手に巡り会えたこと、たとえ理解してもらえなくてもその重荷を少し下ろすことのできた経験は少しだけ生きることを楽にしてくれるのかもしれない。
死んだ友達の兄だった堀がかなえの後からついてくるラストはとてもホッとさせる良いラスト。