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バレリーナのblacknessfallのレビュー・感想・評価

バレリーナ(2023年製作の映画)
4.0
復讐映画名作輩出国、韓国からシスターフッドを基調にしたリベンジ・アクション映画。

世界中を震撼嫌悪させたあのN番小屋事件から着想を得て制作られたと聞く。マフィアにワイセツ動画撮られ、それをネタに脅迫され売春を強要され自殺した親友の仇討ちのためにマフィアと対決する女性の復讐譚。自国の恥でも躊躇なく映画できるところが韓国映画の強みの1つだよな。
日本なぞ単なる権力の犬体質で日本人であることしか取り柄がない(こんなもん取り柄でもないが)ネトウヨ臣民様達の「日本を貶めるな」というバカの1つ覚えのクレームにビビって映画化しねぇもんな。ネタに困らんだろ、特に性犯罪はさ。少年レイパーの男性アイドル事務所のあの鬼畜なんかワールドクラスだぜ。

それはともかく、ここ数年韓国映画ばかり観てる友達は本作のことイマイチと言ってた。それもわかる気がする。
撮り方が韓国映画じゃないから、本作。
主人公と自殺する女の子二人の過去の美しい思い出は岩井俊二のようなガーリーでキュートなトーンだし、主人公の警護員という特殊な職業で異能な強さを持ってるキャラ設定やおぞましくもアートっぽいSM強要拷問部屋のガジェットや部屋の構図はリュック・ベンソンを想起させ、ハズシを入れたオフビートなリズムと豪快なバイオレンスを放つアクションは完全にタランティーノだ。タランティーノの崇拝者の証である車のトランクの中にカメラを入れるあのショットもあったし笑
要するに90年代の尖った映画手法で撮られてる。だけにいつもの韓国映画にある、濃い情念と粘りけのある血しぶきが飛び散り執拗で激しく生々しいバイオレンスを期待した友人は肩透かしを食らったんだと思う笑
本作も十分、激しく濃いんだけど、友人に限らず韓国映画ばかり観てる方は激辛料理ばかり食べてる人が普通の辛さを辛さと感じなくるのと同じことになってる気がする笑

おれは90年代が一番映画としっかり向かい合ってた時期で多大な影響を受けているし、当時の映像感覚が快楽やかっこよさの基準になってる部分が大きいので、90年代マナーが炸裂した本作、とても気に入った。やり方間違うと時代錯誤で独りよがりでダサくなる90年代なかっこよさをうまく現代的にやってくれた。
かっこよさやギャグが全部ハマったし、懐かしさも感じで重苦しい話なのにプログラム・ピクチャーとして楽しめた。上映時間も短くてよかったよ。これぐらいでいいんだよ😏
プログラム・ピクチャー的でしかも男(社会)に搾取された女の復讐という意味で少し『女囚さそり』シリーズやそういうテーマのVシネのテイストも感じた。これは意外と話が一本道で娯楽映画の快楽にポイントを置いてるところが同じだからだと思う。

唯一の不満はN番小屋から着想を得てるのに仇役の人が超絶イケメンだったこと。実際、捕まった連中は桜壱バーゲンが描く童貞中年のような強烈な非モテオーラを纏ったキモオタルックスだったじゃん。調書を読むとコイツら女性のことを性の道具としか見なしてない加害性と変態性欲の塊である心身ともにパーフェクトに醜悪無比なヘドロみたいな生き物だよ。
ここはちゃんと事実に忠実にやるべきだったと思うな。フィクションであってキモオタを美化しちゃいかんよ、誠意の問題だ😬💨
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