かなり悪いオヤジ

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3.5
Z世代: 生まれた時点でインターネットが利用可能であったという意味でのデジタルネイティブ世代としては最初の世代となる。デジタル機器やインターネットが生まれた時から当たり前のように存在し、インターネットを日常風景の一部として感じ取り、利用している世代である。(Wikipediaより)

『サーチ』『Run』のアニーシュ・チャガンティ監督の元で映画編集に携わったニック・ジョンソン&ウィル・メリックの若きコンビが放つ“スクリーンライフ”サスペンス。全編スマホやPC画面で構成されている映画の手法をそう呼ぶのだそうで、全く新しい映画のジャンルと思って見た方がいいのかもしれない。

白人パパと黒人ママのハーフであるZ世代女子ジューンが主人公なのだが、出だしMacの画面にところ狭しと表示されているウィンドウの数に圧倒され、それを次々と切り替え操作していく素早い動きに、団塊世代以前の観客は間違いなくおいてけぼりをくらうだろう。

彼女たちZ世代の子供には町中の風景とPCやスマホに表示されているデジタル映像がほぼ同一に見えるらしく、会議資料やマニュアルを紙でプリントアウトして見なければなんとなく落ち着かない我々雇用延長世代とは、そもそも頭の構造からして違っているような気がするのである。

監督の2人も、予め作っておいたビデオコンテを台本がわりに主役の子のFACEBOOKにとばしておいて、映画の進行に役立てたというから驚きである。映画制作の現場も昔に比べればかなりペーパレスが浸透しているようで、時代も変われば変わるものである。

しかしながら、既存アプリの画面をそのまま映画のスクリーンに表示してしまうと著作権的にひっかかるらしく、予め撮りためておいた動画をphotoshopやアニメーションのソフトを使って、それらしく編集し直した映像になっているという。カーソルの動き一つとっても全て手作り、なのだそうだ。

私はてっきりiPhoneだけで撮った超低予算作品なのかなと勘違いしたのだが、本作のデジタル編集にはかなりの労力と手間暇がかかっているらしい。女の子の演技やシナリオ云々よりも、本物のPC画面に見えるようそっくりに作って見せたその編集に是非注目してほしいと、ウィル・メリックは力説していた。監督かなりのデジタルオタクである。

映画前半のゲッセマニ(コロンビアにもあるんだ?)ツアーが本編とは殆ど関係のないミスリードだったことを考えると、初めからスマホの位置情報をGoogle Earthで辿ってればよかったんじゃね、イケメンのFBI捜査官ならばそれこそ瞬殺でマミーの居場所を割り出せたのではないだろうか。

色々と便利なようでいて、その分余計な情報に振り回され真実になかなかたどり着けないジューン。犯人にハックされれば、それこそ命取りになる情報社会の危うさはまさに両刃の剣といったところだろうか。この映画のテーマはそこなのかなぁ、などとアナログオヤジはやっかみ半分で思ったのでありました。