かなり悪いオヤジさんの映画レビュー・感想・評価

かなり悪いオヤジ

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他人の顔(1966年製作の映画)

4.3

安部公房✕勅使河原宏✕武満徹のコラボによる失踪3部作において、巷での評価が高い『砂の女』よりも私は本作を断然おすすめしたい。閉ざされた地方のコミュニティを舞台にしている『砂の女』だが、そのアヴァンギャ>>続きを読む

砂の女(1964年製作の映画)

4.0

原作者安部公房自ら脚本を担当した本作は、1964年のカンヌ審査員特別賞並びにその年のキネマ旬報1位など邦画各賞を総ナメにした。どこかSFちっくなストーリーと勅使河原宏のアーティスティックな映像美が高評>>続きを読む

怪談(1965年製作の映画)

4.0

1963年『切腹』でカンヌ審査員特別賞を受賞した小林正樹監督は、本作にて再び同賞受賞の栄誉に輝いている。小泉八雲原作の短編から『黒髪』『雪女』『耳なし芳一の話し』『茶碗の中』をピックアップ、4話が完全>>続きを読む

十二人の怒れる男(1957年製作の映画)

4.2

キリストの弟子と同じ人数の陪審員たちが、18
歳の少年が容疑者になっている“父親殺し”について審議する法廷ドラマ。元々はTVドラマだったものをリメイクした作品らしく、本作のリリメイク?作品が後にたくさ
>>続きを読む

苦役列車(2012年製作の映画)

3.5

西村賢太による同名自伝小説の映画化作品。父親がしでかした性犯罪のせいで苛められ中卒でドロップアウト、以来港湾の日雇に身を落とし生計を立てていたが、酒と風俗におぼれては金を使いはたす荒れ果てた生活を送り>>続きを読む

新幹線大爆破(1975年製作の映画)

3.8

3.11の大地震で都心の交通機関がすべて停止した時、いち早く動き出した交通機関は何だったのか御存知だろうか。JR東日本が莫大な予算をかけて運行管理している“新幹線”だ。ガス貯蔵タンクの火災を眺めながら>>続きを読む

赤い殺意(1964年製作の映画)

3.8

「汝らは何を好んでウジ虫ばかりを書く」と小津安二郎と野田高梧にバカにされた今村昌平は、「俺は一生ウジ虫を書いてやる」と啖呵をきって小津組を離れ川島雄三の元に走ったという。そのウジ虫ならぬ“蚕の幼虫”が>>続きを読む

にっぽん昆虫記(1963年製作の映画)

4.2

貧しい農家の父無し子から売春組織の元締めにまで成り上がった実在人物の綿密な取材を元に撮られた、大正から昭和にかけての日本裏風俗史ともいえる作品だ。大正7年誰の種だかわからないまま産まれた松木トメ(左幸>>続きを読む

サブスタンス(2024年製作の映画)

4.0

全身整形疑惑があるこの私にこんなキワモノボディホラーに出ろなんて、あのフランス女監督いい度胸してるわね。まあオバマやバイデン時代のハリウッドだったら、いくら“男性支配からの脱皮”がテーマなんてごまかし>>続きを読む

ノスフェラトゥ(1978年製作の映画)

3.8

ヴェルナー・ヘルツォークによるF.W.ムルナウ監督『吸血鬼ノスフェラトゥ』のリメイク版だ。現在公開中のロバート・エガースによるリメイク版はその二番煎じに位置付けられる。ムルナウのモノクロバージョンは未>>続きを読む

ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング(2025年製作の映画)

3.5

J.J.エイブラムスが関わった『 M:I:Ⅲ』 と『ゴースト・プロトコル』が大好きな自分にとって、『ユージュアル・サスペクツ』の脚本家クリストファー・マッカリーと組んだシリーズ4作品はどうものりきれな>>続きを読む

バベットの晩餐会(1987年製作の映画)

3.8

VHSを借りて本作を初めて見た時は、映像そのものが劣化していて、バベットの作ったフルコースがあまりおいしそうにみえなかった記憶がある。今回アマプラで配信されたHDニューマスター版を拝見するとその辺りが>>続きを読む

ポトフ 美食家と料理人(2023年製作の映画)

3.4

『アナトミー・オブ・ア・フォール』のジャスティーン・トリエ監督がパルムドール受賞スピーチで余計なことを言ったものだから、アカデミー賞ノミネートのお鉢が棚ぼたでまわってきた作品だ。18世紀フランスのブル>>続きを読む

スワン・ソング(2021年製作の映画)

3.6

「スワンソング」の意味をAiに聞くとこう答える。
一般的に「最後の作品」「最後の活動」を意味する表現です。白鳥は死ぬ前に美しい歌を歌うという伝説に由来します。特に、芸術家や政治家などの退職、引退、死を
>>続きを読む

ナポレオン(2023年製作の映画)

3.5

「あなたはそこにいたのですか?いないならだまっていなさい」史実と食い違っている点を歴史家に指摘され、鶏冠にきたリドリー・スコットがそう述べたという。いわゆるナポレオン戦争(1796~1815年)を、史>>続きを読む

深い谷の間に(2025年製作の映画)

3.8

APPLE TV+から配信されている最新のSF映画は、SF映画のブーム再々到来を予感させる出来映えだ。私が常日頃思っている、SFで最も大切な舞台設定が、この映画なんといっても秀逸なのである。切り立った>>続きを読む

マクベス(2021年製作の映画)

3.8

監督のジョエル・コーエンはもう弟のイーサンとコンビを組んで映画を撮ることはないだろう。そんなことを予感させるモノクロ映画なのである。今までまったくのオリジナル脚本で勝負してきたコーエン兄弟であるが、弟>>続きを読む

オン・ザ・ロック(2020年製作の映画)

3.5

ソフィア・コッポラに言わせると本作はとてもプライベートな作品らしい。要するに、お父様フランシス・F・コッポラとの父娘関係を映画にトレースしたということなのだろう。とすると主人公ローラ→ソフィア、その親>>続きを読む

ボイリング・ポイント/沸騰(2021年製作の映画)

3.7

全編ワンショットの長回しだけが注目されている本作ですが、なぜか違和感を覚えずにはいられない映画なのです。イギリスの架空人気レストランが舞台になっているようなのですが、肝心要の料理がまったくクローズアッ>>続きを読む

野良犬(1949年製作の映画)

4.0


1948年まで足掛け3年間続いた東宝労働争議の影響で、黒澤が他社の協力を得て撮り上げた作品だという。旧権力を解体し民主主義を浸透させる目的で、GHQが肝いりで作らせた労働組合の運動を、巨匠黒澤明はこ
>>続きを読む

片思い世界(2025年製作の映画)

3.6

広瀬すず26歳、杉咲花27歳、清原果耶23歳。Z世代を代表する若手女優3人をキャスティングして、監督土井裕泰&脚本坂元裕二の『花束みたいな恋をした』コンビは、本作でどんな社会風刺を見せようとしたのだろ>>続きを読む

アギーレ/神の怒り(1972年製作の映画)

3.5

右肩を下げてふんぞり返るように筏木の上を歩き回るクラウス・キンスキーは、おそらく悪名高きイングランド国王リチャード3世を模した役作りではなかったかと、某識者が述べていた。生まれつき側弯症で背骨が曲がっ>>続きを読む

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(2017年製作の映画)

3.7

AIに聴いてみたところとろ、【「フロリダ・プロジェクト」とは、2つの意味があります。ひとつは、アメリカ・フロリダ州でウォルト・ディズニーが開発したテーマパーク(ディズニーワールド)のプロジェクト名です>>続きを読む

ワース 命の値段(2019年製作の映画)

3.7

「頑張って聴かなければならない音楽はどうも苦手でね」政府の特別管財人ファインバーグ(マイケル・キートン)と自身妻をテロで失いファインバーグ叩きのため集団提訴の準備をする人権派弁護士ウルフ(スタンリー・>>続きを読む

私がやりました(2023年製作の映画)

3.5

本作監督のフランソワ・オゾンはゲイである。故に女性一般に対しあまり好感を抱いていないのが普通だ。が、トランプ大統領就任までの映画界は、ハリウッドはもちろんEUでこさえられた作品もほとんどLGBTQ礼賛>>続きを読む

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

1.0

もしもトム・○ンクスやス○ルバーグ、そしてビル・○イツがこの邦画を見たら大喜びするに違いない。なぜかって?わが日本がそんなんだから、いつの間にか小児性愛合法化のための事前準備にすぎないLGBTQ法案が>>続きを読む

ローマ法王の休日(2011年製作の映画)

3.4

先頃日本で公開された『教皇選挙』とは真逆といってもいい内容です。グローバリストによるグローバリズムのための映画だった『教皇選挙』に対し、ナンニ・モレッティ曰く、バチカンにまつわる(幼児性愛や同性愛等の>>続きを読む

めくらやなぎと眠る女(2022年製作の映画)

3.7

「かえるくん、東京を救う」「バースデイ・ガール」「かいつぶり」「ねじまき鳥と火曜日の女たち」「UFOが釧路に降りる」「めくらやなぎと眠る女」ハルキムラカミの短編6編をうまく融合させた本アニメの構成は、>>続きを読む

エル(1952年製作の映画)

3.7

エール(’ēl , エルとも音写)は、セム語派に於いて最も普通に用いられる神を指す言葉。複数形はエロヒム (Elohim) で「神々」の意だが、オリエントでは神格や王権を複数形で表わすことがあるため、>>続きを読む

そして僕は途方に暮れる(2022年製作の映画)

3.3

主人公の裕一くん(藤ケ谷太輔)は、一体何から逃げ続けていたのだろう。マエアツ演じる里美に浮気を見破られ、すごむ里美から逃げるようにして部屋を後にする。その後厄介になった友人のシンジ(中尾明慶)には自分>>続きを読む

エミリア・ペレス(2024年製作の映画)

3.7

主役のトランスジェンダー俳優カルラ・ソフィア・ガスコンがその昔ツイッターでかました差別発言が明るみに出たせいで、オスカー最優秀作品賞をとりそこなったと言われている。イスラム教徒→「治療が必要な憎悪の根>>続きを読む

現金に手を出すな(1954年製作の映画)

3.7

映画公開当時、ジャン・ギャバン は50歳、ジャンヌ・モローは 26歳、リノ・バンチュラ は35歳である。現代の平均寿命に当てはめれば、50歳なんてまだまだ男盛りで老け込むには早いような気がするのだが、>>続きを読む

マッドマックス:フュリオサ(2024年製作の映画)

3.7

「朽果てていくこの世界で、どう狂気に抗えと?」冒頭賢者が観客に問う意味深な言葉。ラテン語で“狂気”を意味するディメンテス(クリス・ヘムズワース)に母親を殺されたフュリオサ(アニャ・テイラー・ジョイ)の>>続きを読む

冬の小鳥(2009年製作の映画)

3.6

韓国俳優の自殺が続いている。ついこの間麻薬常習を疑われたイ・ソンギュが自殺したばかりだというのに、今度は天才子役とうたわれたキム・セロン(24)だ。酒酔運転による事故で発生した多額の損害賠償を苦にした>>続きを読む

侍タイムスリッパー(2023年製作の映画)

3.6

米農家との兼業で映画を撮り続けてきた安田淳一監督の執念が実ったのか、インディーズながら全国展開へ、そしてまさかの超ロングランを記録。おまけに日本アカデミー賞最優秀作品賞に輝いた2024年の大ヒットムー>>続きを読む

フランス(2021年製作の映画)

3.0

これまでにも、自己矛盾の塊のようなヒロインをずっと描き続けてきた鬼才ブリュノ・デュモン。今作では、女優として油ののりきったレア・セドゥにTV局の人気キャスターを演じさせている。しかし、本作を普通の映画>>続きを読む