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ナイアド ~その決意は海を越える~のrage30のネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

実在の長距離スイマー、ダイアナ・ナイアドを描いた作品。

60歳にして長距離水泳に挑戦するというだけでも驚かされるのですが、散々準備した上での本番がまさかのリタイア。
その後も2回、3回と失敗を繰り返すわけですが、こんなにもトライ&エラーを繰り返す事になるとは意外でしたね。

ただ、このおかげで、主人公ナイアドの執念がより強く伝わった様に思います。
そもそも2日以上も海の中で泳ぎ続けるというだけで狂っているのに、死にかけても反省せずに再挑戦を訴える始末。
全くもって不遜で自分勝手な人だし、これでは周囲の人間が離れていくのも道理でしょう。

しかし、その一方で、ライバルの失敗に大喜びしてしまう人間臭い一面もあれば、性暴力の被害者として脆さを見せる場面もあって。
人でなしでもあれば、人たらしでもあるという、この非常に複雑な人間性こそがナイアドという人物の魅力なのかもしれません。

ナイアドを演じる、アネット・ベニングの体を張った演技も素晴らしく、個人的には彼女の目が印象に残りました。
目が据わってると言いますか、ガンギマリした狂人の目をしていて、演技を超えた…本当にナイアド本人を見ているかの様な気持ちにさせられましたよ。

あとは、脇役も良くて、日焼けしてワイルドな風貌になったジョディ・フォスターは新鮮だったし、ユーモアを封印したリス・エヴァンスの渋い演技もカッコ良かったなと。
エンドロールで実際の人物が映されますが、どのキャラクターも本人に寄せていて感心させられました。

夢を追う事の素晴らしさ、そして、仲間を持つ事の尊さを改めて再確認させられましたし、何より実話であるという説得力が深い感動へと誘う事でしょう。
年齢も性別も超えて、多くの人を勇気づけてくれる作品です。
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