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モンキーマンのmのレビュー・感想・評価

モンキーマン(2024年製作の映画)
4.7
デヴ・パテルが主演だけでなく監督・脚本(共同)・プロデューサーも兼ねた作品。初監督でこれは凄い。

監督としてのセンスの良さ、脚本家としての志の高さ、俳優としての美点とデヴさんの良さが各方面で発揮されている。

まず監督としてのデヴの才気が溢れていて、特に前半のキレッキレさには刮目した。スられた財布の行方の描写とか流麗且つ泥臭くて見事。ジャンプカットがいちいち巧い。凄くクールな映画だったな。
バイオレンス映画としてはモロに韓国映画(たぶん「悪女」「カーター」「アジョシ」らへん)と「ザ・レイド GOKUDO」(キッチンでのクライマックス)の影響が見られる。その辺の影響元への素直なリスペクトとそれを活かしてまた独自のアクションを創ろうという野心が良かった。個人的にはトイレ戦が一番印象的。

脚本家としての志の高さは、なんといっても個人の復讐を描くだけでなく、貧富の差やマイノリティへの右翼政治家やその支持者からの差別を描いている所に感じた。最終的に復讐に燃える主人公とトランスジェンダーの人々や貧しい人々が連帯するクライマックスに至るのはマジで素晴らしい。

俳優としてのデヴってこれまではあの優しげな雰囲気が印象的だったのだけど、今回そんな彼が復讐に燃え暴れまくる役を演じる事でそのギャップが活きた。
加えてデヴはスタイルが滅茶苦茶良くて、手足の長さがアクションで映える映える!特にスーツを着た時にそれがより際立っていてすこぶるカッコいい。




中盤で少しテンポが落ちるのは終盤に向けてのタメだから良いとして、終盤もプロレス戦2回やるのは流石に時間かけすぎとも思えてちょっとテンポが遅く感じられてしまったのは少し残念。宗教の事を理解できていれば、もう少し違う見方ができたかな。


リベラルな視点のある脚本にアクションや映像演出の荒々しい野心も加わって、優れたバイオレンス映画だった。デヴ監督の今後に期待。
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