CHEBUNBUN

マエストロ:その音楽と愛とのCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

1.0
【ブラッドリー・クーパーは技術力こそあるが...】
Netflix映画とは相性が最悪なので、敬遠しているのだが、レナード・バーンスタインの人生をプライベート中心に描くアプローチが気になり観た。これがあまりにも退屈で、年末に衝撃走る一本となった。

ブラッドリー・クーパー自身の技術力は『アリー/ スター誕生』から手数が増えている。白黒パートの演出は想像以上に良く、時空間を移動するようなショットを通じて混沌としたレナード・バーンスタインの心理を表現したり、舞台上での高揚感の中で妻との心理的距離が遠ざかっていく様子を描いたり興味深いものがあった。ヴェネツィア国際映画祭の時の批評家レビューからイメージしていた、色彩をコントロールできない技術力のなさを誤魔化すためだけに白黒が適用されているといった感じではなかったのは良かった。

しかしながら、全体的に散漫な作りとなっており、レナード・バーンスタインを巨匠の立場から一般化し、よくあるクズ男話に変えてしまったことも相まって退屈を極めてしまっていた。なによりも、彼の楽曲やクラシックを醤油のようにドバドバ、雑に注ぎ込む様子の下品さに腹が立ってきた。基本的にNetflix映画は引き算がないのだが、まさしく本作は足し算、掛け算だけでできており、白黒から無意味にカラーを選択することまでやってのけてしまう。

ブラッドリー・クーパーはテクニックを絞ったら良いルックの作品が作れると思っているだけに、今回は酷かったと落胆している。
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