にゃーめん

パスト ライブス/再会のにゃーめんのレビュー・感想・評価

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
3.0
シネフィルの男性からの評価が妙に高い本作。

結論から言うと、私的にはコレじゃない感を抱えたままエンドロールを迎えた。

A24製作の大人のラブストーリーということと、アカデミー賞作品賞・脚本賞ノミネート(どちらも受賞ならず)という事で、ハードルを高めに設定しすぎてしまったのかもしれない…。

12歳の時の幼馴染みの初恋の相手にNYで24年ぶりに再会するという展開だが、facebookが無ければ連絡を取り合うことも無かったというのが、現代風のあらすじ。

facebookもやっておらず、学生時代の知り合いに会いたいとも一切思わない、心の冷え切った人間なので、ノラにもソヨンにも感情移入する事がなく…。

人生においての分岐点は、イニョン="縁"とタイミングの重なりでできているというテーマには納得。

人との別れも出会いも全て"縁"。

ご縁がなくてお別れした人、ご縁があって今でも続いている関係。
30代を超え様々な経験をしてきた大人には沁みるテーマであることは間違いない。

特に、ノラの旦那のアーサー(ジョン・マガロ)の視点を入れた所は秀逸だった。

自分の知らない時代の妻の幼馴染みが、遠路はるばる(韓国からNYまで13時間かけて)訪ねてくるなんて、心中おだやかではいられないはずなのに、感情を抑えてヘソン(ユ・テオ)と対面する後半の展開はヒヤヒヤしながら見守った。

アーサー役のジョン・マガロは『ファーストカウ』の料理人クッキー役も印象的で、どことなく女性的な繊細さも併せ持った柔らかな雰囲気をもつ俳優だが、本作でもその優男っぷりが滲み出ており、グッドキャスティング。

ジョン・マガロの魅力の再発見ができたという意味では収穫だった。

運命の人じゃ無かった系作品としては、邦画の『ちょっと思い出しただけ』(2022)なども彷彿としたが、

ノラとヘソンは正式に付き合っていた訳でもなく、ヘソン側の片思い的な気持ちの方が強く、初恋の人への過剰な執着とも取れる行動に、ちょっと引いてみてしまっている自分がいたため、評価があまり伸びなかった。
(男性視点と女性視点の違いだろうか…)

忘れられない「初恋の人」がいる人には是非おすすめの1本である。
にゃーめん

にゃーめん