MotelCalifornia

パスト ライブス/再会のMotelCaliforniaのレビュー・感想・評価

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
4.5
なんでこの恋愛映画がこんなに評価が高いのか、観たらすごくよくわかった。
安易にドラマチックな展開にせず、甘いコーティングもかけず、誠実に、ビターに、現実的に、大人の恋愛を描いている。
惚れ惚れするほど美しいショットの連続(NYの街を歩く二人の引きの画とか、ホテルの窓に映るそわそわしたヘソンの姿、土砂降りのタクシー、自由の女神の裏側、ソウルのY字路など、あげたらキリがない)や、リアリティと神秘性のバランスが絶妙な台詞、俳優たちのいい演技、その先にある、人生ってそうだよね…タイミングなんだよね…と、観ている人がみんな納得のいく(白けたりガッカリしたりさせない)味わい深い結末。。…って、映画として完璧じゃん!

しかも、セリーヌ・ソン監督は本作が処女作というのも、末恐ろしい(アカデミー作品賞・脚本賞にまでノミネートされて!)。

「イニョン(=縁?)」という韓国の概念が紹介されるんだけど、一期一会とか輪廻転生の死生観を持つ我々日本人にはとても共感できる話だし、ヘソンの仕事観とか、英語レベルにも共感しまくりだった。個人的な思い出だけど、若い頃、海外の友人に会いに妻と遊びに行ったときも、自分はあんな感じの対応しかできなくて、ああいうバツの悪さを味わったことがある笑。

Past Livesというタイトルが絶妙。移民はみんな、祖国を出る時に一度生まれ変わっているということと、前世から連綿と続く(?)3人の関係性のダブルミーミング。最後に二人が交わす会話にも繋がっていて泣けた…

定期的に出会いと別れを繰り返す男女の物語として、誰もが思い起こすだろう、リンクレーターのビフォア三部作と同様に、観光映画としてもよく撮れてて異邦人視点のニューヨークの街がとても素敵だった。旅行に行きたくなるよね。

ノラ役のグレタ・リーはドラマでよく見かけていて、以前からいい顔してんなー(好みの美人ととかって意味じゃなく「俳優としてめちゃいい顔!」)と思ってたけど、いつもの自信たっぷりで飄々とした脇役とはまた違った、しっとりとした顔も見せていて、ますます好きになった。オスカー主演女優賞ノミネートも納得。
ヘソン役のユ・テオは、こんなハンサムいたんだーっていういいビジュアルで、嫌味のない好青年がハマってた。
アーサー役のジョン・マガロも、彼じゃない人が演じていたらアーサーがやな奴になって映画全体のバランスまで崩れてしまいかねないところを、彼のめちゃくちゃ複雑な心境をとても繊細に演じており、影の立役者だと思った。

ダラダラと書いちゃったけど、とにかくいい映画だから、みんなすぐ映画館へ行くべき!以上。
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