これからヘソンと似たような状況を控えている自分にとっては、カタルシスが強すぎて冷静には見てられないほどぶっ刺さった作品だった。
（むかしブルーバレンタインを見たときも同じような目にあったことがある…）
本作は監督の実体験から生まれたもので、彼女にしか撮れない非常に個人的な物語。
それでも多くの人が自身と重ね合わせてしまうのは、片方の人生を選択すれば片方の人生を失うということを誰しもが無意識（もしくは意識的）に感じているからで、他の人生を追体験できることも映画の魅力のひとつだとすると、
この作品はそうではなく、人生一度しかないし、私たちにはこの人生しかないという儚さみたいなものを教えてくれる。
物語のキーワードである”イニョン-縁”
西洋文化における運命とは何か行動しなければならないもの、しかし東洋の文化では縁について語るとき、
必ずしも行動に移せるものではないことが多いというのだけれど、おそらくここが一番考えがわかれるポイントであり、
登場人物たちそれぞれの言動に対して共感できるできないの意見がでてくる理由だと感じた。
あと、特質すべきはこの作品には悪者がでてこないこと。
恋愛映画をあまり多く見る方ではないけど、それぞれがお互いを愛し、尊重している人物関係は新鮮で、
ストーリーを考えるといくらでも泣かしにかかることもできるのに、そこは徹底したナチュラリズムで華美にドラマティックな演出がないのも好感がもてた。
