ノラが、夫アーサーとの関係について話すときに「私はここに辿り着いた」と表現していたのが印象的。彼女の言葉通り、過去に自分がどういう未来を描いていたか、今の生活はそれとは全く異なるものではないか、などと考え始めればキリがない。環境や仕事、パートナーなど、今の自分を作っているものをこれからも守り続けることが大切だと考えることは、彼女が「大人」だからこそできるものだと思った。
ノラとヘソンが、タクシー乗り場へと向かう道の空気感がとてもリアル。言いたいことは山ほどあるけれど、言葉にしてはいけないとお互いが分かっているからこその無言なのかもしれないと思うと苦しかった。
“イニョン”という言葉が、仏教国ならではの神秘性を持つとても素敵なワードだった。しかし、このストーリーにおいては自分自身を言い聞かせるための切なさを暗に含んでいる気がした。
A24が織りなす豊かな色彩や美しい曲に魅せられた。
