ノーラン監督のこだわりが詰まりに詰まった作品だった。
とにかく音が素晴らしく、テーマパークのアトラクションに乗っているかのような感覚にさえ陥った。劇場で観て良かった。
トリニティ実験が成功したシーン以降、オッペンハイマーの感情の揺らぎのようなものがとても繊細に伝わってきた。
彼の脆さやそれ故に生まれる苦悩を見事に表現していたキリアンマーフィーの演技はさることながら、妻のキティを演じるエミリーブラントが魅力的。彼のことを憎んでも仕方のない状況で、見事に証言をしてのけるシーンが特にお気に入り。夫婦の関係について「私たちは大人だから」と表現する寛容さに妻としての懐の広さを感じた。