ずっと気になっていて、ようやく観ることができた。
すごく良かった。
いわゆる恋愛映画を期待する向きには少し物足りないかもしれないけど、とても滋味深い作品だった。
観終えた直後よりも、後から思い返してどんどん沁みてくる系。
去年で言えば『aftersun』みたいな。
(微妙にネタバレな気もするので、少しぼかして言うと)きちんとお別れする映画だと思った。
そういう意味ではこの前観た『異人たちとの夏』と通じるものが。
『aftersun』も過去のあの人に会うという点では似てますね。
考え抜かれた撮影も良かったけど、劇伴がホントに素晴らしかった。
弦楽器を中心とした生楽器のアンサンブルで、夢の中にいるような音像の中、少しだけ叙情的だけど極めてミニマルに展開する楽曲でかなり好み。
この静かな作品に彩りと潤いを与えている劇伴で、本作を形作るパーツの中でもかなり重要な位置だと思う。
音楽担当のクリストファー・ベアとダニエル・ロッセン、この人達の名前覚えました。
良いシーンがたくさんあるけど、再会した2人が地下鉄に乗り込み発車するシーンが何だか妙に好き。
観ながら、実際に経験したあれこれを思い浮かべて、映画と重ねて追体験しているような感覚で、ある意味青春映画に似たような感触(多分自分がもう中年だから)。
それにしてもあのラストシーンは語りがいがある…。
アーサー、君は本当に本当にいいヤツだ!