ハシゴダカ

愚行録のハシゴダカのレビュー・感想・評価

愚行録(2017年製作の映画)
4.0
目下最も注目されている日本人監督の1人である石川慶だけど、まだ作品数は多くないので少しづつじっくり観ていこうと思っていて、一家惨殺事件が題材ということもあり、腰を据えて観ようとキープしていた作品。

もう序盤から嫌な感じで、この映画はこのテンションがずっと続きますよという作り手からの宣言として、ツカミはOK(笑)。

未解決事件の真相を追う為、関係者に証言を求めていく主人公。
この関係者の皆さんが、まぁみんながみんなクズい…もとい俗物で自分の事しか考えていない普通の人たち。
そう。最悪な人間というよりは、観客我々のどこかにある利己的で醜悪な部分をブーストさせたような人物たち。

その関係者達のクズい発言にゾクゾクする。
観ているこちらの暗部を透かし見られているような居心地の悪さと、あまりに利己的でいっそ清々しくもあったりして。
ほぼ全員煙草を吸っているのだが、それも意味深な。

はじめはこのポスタービジュアルが、オールスターキャストなので何だかなぁと思っていたけど、この関係者達のエグさをポップに(それともちろん演技力込みで)楽しむ上でのこのキャスティングなのだろうなと納得。

あとはやっぱりこの監督ならではの映画としてのルックの強さが、これだけメジャー俳優が揃い踏みでも安っぽくならないんだろうな、と。
まぁ、ちょっと暗すぎる気もするけども…。
とあるシーンはもはやホラーみたいだし。

いや待てよ、この作品、ホラーだわ。
しかも、観終えてからも嫌さを引きずる系。
直接的なエグい描写はないので苦手な人はご安心を。

とあるあっけない殺害シーンは黒沢清っぽくて結構好きだった。
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