Mina

はじまりへの旅のMinaのネタバレレビュー・内容・結末

はじまりへの旅(2016年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

ごめんなさい、私にとっては超グロ映画。不快なレビューかもしれないので、読まれる方はご注意ください。




















映画の序盤から「虐待」という言葉が浮かび続け、痛快だと思わせたいであろうシーンには不快さすら感じた。前半のグロさ(長期に渡る洗脳・加虐)が強烈すぎて、終盤の父親の気づきにも「おせーよ、子どもにとっての数年と大人の数年を一緒にするなよ」と思った。

子どもたちが望んだ生活であるかのように、まるで美談のようにまとめられているけど、生まれた時から父親が好む思想、本や音楽しか与えられない世界で育った子どもがどう自分の人生において選択ができるというのか。偏った知識しか与えられずに育った子どもが語る言葉は本当に”自分”の言葉なのか。自分の目で何も見ていないのに。ニュースを見て感じることも、学校で違う考えを持つ人たちと関わって物事に気付く機会も与えられていないのに。愛があったとしても、これは子どもの選択肢を奪い、さらには人生をも奪いかねない虐待だと思う。子どもの命・人生に対して無責任すぎる。と、とにかくイライラが止まらなかった。この父親が正義だという結末にしたら許さないぞ、という気持ちだけで最後まで鑑賞。結果として、十数年この環境下で生活した子どもたちを思うと、この結末だけでは到底腹立たしさは治りませんでした。

もちろん妹夫婦の息子たちが健全とは絶対に言わない。クソガキだなあと思う。でもゲームを選ぶか、勉強を選ぶか、はたまた違うものを選ぶのかは、選択肢が与えられて初めてのことであって、全員が全員怠惰な道を行くわけじゃない。そこに現れるのが本当の個性じゃなのか。私は自分がもしも子どもを産んだら、今の文明ある社会で生きる術を伝えてあげたいと思う。社会と出会い、経験したことから自発的に生まれる言葉で語れる人間になってほしいから。もちろん育児や教育、そもそも人生において正解なんてない。それでも最初から奪って、自論を植え付けて語らせることを理想と語るのはあまりに危険すぎる。

そしてこの映画にイラッとした点がもう一つ。父親に違和感を感じる子どもが長男と次男しかいなかったこと。次男より年上であろう姉二人の主張、描写が無さすぎる(『ロリータ』の考察シーンくらい)。可愛らしい花飾りに衣装にそばかすに赤髪にって、ビジュアル担当のお飾りかと思った。語弊があるのは重々承知で、加害に気付かないっていう点で、グルーミングと何が違うのか。私は今一体何を観させられているんだという時間が長すぎた。

平均評価3.9点という事実にも愕然。真剣に観過ぎ、ある意味没入したからこその1.0点。私にとって映画を観るということは、自分の意見を引き出す・形成することでもあるので、感じたことはレビューとして残させてください。長文失礼しました。
Mina

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