Naoki

パスト ライブス/再会のNaokiのネタバレレビュー・内容・結末

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

「たられば言ってんじゃないよ。好きなら好きだと言えよ、会いたいなら会いにいけよ、運命だと感じたならそのまま信じ続けろよ。」

と、映画や漫画では綺麗ごとが囁かれるか、現実は残酷なものである。

作中でモントークの話題が出る。これはミシェル・ゴンドリー監督作品『エターナルナルサンシャイン』で、愛し合う2人が再会を約束した場所だった。記憶をなくした2人が運命だと勘違いしながら遠く離れたニューヨークから4時間の田舎町で巡り合う物語だ。

本作では、あの名作をなぞるように、24年間の時を経て男女がニューヨークで再会を果たす。でもそこは彼らにとっては約束の場所ではなかった。ソウルで初めて別れた時、彼らは「また会おう」ではなく「さようなら」を最後の言葉にしていた。思えばあの時全てが終わっていたのかもしれない。

長い年月を超えて再会するも、2人が過ごしてこなかった時間はあまりにも長過ぎた。

実体を伴う唯一の記憶は、テスト結果で競い合う幼少期の帰り道、公園で意味もなくじゃれ合ったこと、そして「さようなら」の記憶。

時間があれば2人はもっと繋がりあえた。互いが運命だと感じながらも、それを証明できない。「前世で何かあったのだろうと」妄想をする2人。心許ない根拠だ、オカルトだ。

元から2人はこういうイニョン(縁)だったのかもしれない。そう信じよう。彼にとって、彼女は去っていく人で、だからこそ好きだったのかもしれない。

あの日、あの帰り道、2人が再会の約束をできなかったのは必然だったということにしよう。

でも大丈夫。ラストシーンで今度こそ再会の約束が出来たから。
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