あっちゃん

パスト ライブス/再会のあっちゃんのレビュー・感想・評価

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
3.7
好き嫌いの分かれる作品だな、という印象。
私自身は嫌いではなかった。

心の中のコップの水がゆらゆら揺れるような、でも決して大きく溢れたり、コップが倒れてしまったり、中身をぶちまけるようなことはしない。
それがまぁ普通の人の人生だ。その辺りの描写が秀逸だった。
台詞や場面展開がなんとなく舞台的だと感じたのは、主人公の女性が戯曲を書いているからだろうか。暗転ごとに時が進んで行くようだ。
誰にでも起こり得るような心の揺らぎをちょっと距離を置いて客席から眺めているような気がして、どうも感情移入ができなかった。
登場人物の台詞が抑制的なせいでもあるのか。

心のコップの水は熱くなったり冷たく冷えたりする。ただ傍目にはなかなかコップの水の温度までは分かりづらいし、わからないようにすることもあるだろう。
でも温度の変化は確実にあるし、その温度が感じられるようなラストシーはとても良かった。

作品の大きなテーマでもある前世、現世、来世と繋がる「縁」は、アジア的、仏教的な考え方で、自分自身の中にもなんとなく無意識に存在する考え方だと思うけど、今の自分の言い訳に聞こえてしまうのは、主人公たちがいつも相手に質問を投げかけるばかりで、決して自分自身の思いを口にしないもどかしさからくるのかも。
そういうイラッとポイントも含めて割と好みだった
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