kimu1122

パスト ライブス/再会のkimu1122のネタバレレビュー・内容・結末

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

登場人物3人全員の気持ちが痛いほどわかる。この気持ちになれるということは、私も大人になったんだなあとしみじみ思った。
運命の相手に出会い、添い遂げるって憧れるよね。ノラとヘソンは、小学生の頃のピュアでなににでもなれる可能性を秘めた自分たちへの憧れ、あの頃に戻って違う道を選んだらどうなっていたか、というある意味『ないものねだり』状態だなと思った。ノラは芸術家の卵で、ヘソンは大学生。まだ何者でもない蕾の時代、先行きに不安な気持ちを抱える若者が、自分の異なる可能性に惹かれてしまうのもわかる。ノラはアーサーと出会って結婚したことで自分のいるべき場所を知り、現実を見ている。一方ヘソンは、ずっと同じメンツで集まり続けていて、実家で暮しており、『あの頃の楽しくて充実していた自分が好きだった女の子』の思い出にとらわれている感じがする。ヘソンは再会してから、ノラにあの頃の面影を探しているような質問をよくしている。目の前のノラを通り越して、小学生のノラを見ている。二人が現実で再会し、むかしと今の違い、人生が交差することはないと理解してからが切なかった。最後にノラが泣いたのは、あの頃の自分には二度と戻れないことを思い知って感傷的な気持ちになったのかなと思った。玄関先で待っていて、ノラの過去から現在を肯定してまるごと受け止めるようなハグをしたアーサー、素晴らしい!
ヘソンも過去に見切りをつけて、前に進めるといいな。
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