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サウンド・オブ・サイレンスのsymaxのレビュー・感想・評価

3.5
"…静かに…あいつに聞かれてしまう…"

父が入院したとの連絡を受け、故郷に帰ってきたエマ…母の顔や首、そして腕には多数の痣が…

父が暴力を振い、それに抵抗して母が階段から父を突き落としたと医師は考えていたが…そんなはずはない…

母は言う…あれはあの人じゃない…

家には帰らないでと言う母の警告を無視し、久しぶりの実家に戻るエマ…ふと目に止まった古いラジオ、それは何でも古い物を修理する事が好きな父が手に入れていた物…何気なくラジオのスイッチを入れた時、エマの面前には…

随分と評価が低いですが、丁寧に作られた美しい幽霊譚だと私は感じました。

音が鳴ると現れ、襲われる…中々、良いところに目を付けたアイディアを結構キレのある編集でテンポよく見せていく前半は、幽霊が姿を現すルールがよくわかっていない事もあって、結構ハラハラさせてくれます。

変にぐちょぐちょにしたり、現れる幽霊達をゴテゴテとおどろおどろしく飾り立てず、"そこにいる怖さ"に絞っているところは好感が持てますし、謎が徐々に解けていくと、そこには悲しみと無情さに溢れてきて何だか切ないのです。

本作にはハリウッド印の悪魔のなんちゃら的な感じでは無くて…まるで小泉八雲の怪談話を読んでいるかのような美しさがあるような気がしてなりません。

ですので、刺激強めのホラー好きな方には物足りなく感じるかも?
まぁ、血が出てこないですからね〜

一方で、ホラーが苦手で普段は観ない方にとってはホラー初級編としてオススメの作品かもしれません。

ちょっとオマケな怪談話がくっついていますが…これは次作があるのか?
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