まず、音楽が終始美しい。そして、妻の夫への愛が美しい。若い頃の妻も美しい。
若い頃の妻の姿が、夫の中に残る記憶だとしたら、それが忘れられる事を何よりも悲しんだ妻の気持ちもわかる。
認知症を゙テーマにした作品はいくつか見たが、この作品はとびきり美しい印象だ。それがドキュメンタリーというのが驚く。
夫も妻も、社会に貢献した立派な人生を送って来た。しかし最期には、夫だけを、妻だけを見つめる生活となった。誰かに強いられたものではなく、自然な流れに感じる。
そう思ってエンドロールで夫が2023年に亡くなっていたことを知って、妻は今、何を思って生きているのだろうと思った。
妻が「チリが世界一の長寿国になる」事を話していたが、ひょっとして憂いていたのかな？
