このレビューはネタバレを含みます
数十本数百本に一本の、こういう素晴らしい映画に何気なく出会うためにわたしは映画を観続けてるんだなと思った。
最初の、2人がお互いの名前の意味について話すシーンから「あ、もうこれは絶対好きな映画だ」って確信してた。
何も悲しくないのにずっと泣きそうになりながら観てたんだけど、何がこんなに自分に刺さってるのかうまく言語化できない。
それでもわたしにとって無駄な描写が一瞬もなかったことは確か。
映画館の大きなスクリーンで観たかったな。
「私以上にあんたを愛してる人なんていない」って台詞がほんとに全てだった。
その人になりたいと思うのって、究極の愛だなと常々思う。
運命の相手という言葉が恋愛関係以外にも適用されるのなら、ミソとハウンは間違いなく運命の2人だった。
人間としての相性ももちろんあると思うけれど、お互いがお互いにとっての唯一無二だと感じるならそれは運命だよな。
きっと誰よりもお互いのことを知っていて、誰よりも相手のことを解りたいと思ってるから、相手が一番言ってほしくなかった言葉を言えてしまうんだよな。
人間は生きていく中で常に変わり続ける生き物で、価値観や考え方が変わって大切な人との関係性が変わっていくことは何も珍しくはないけれど、それでもその人と繋がり続けたいと思える人なんて人生で1人出会えたら大儲けだよね。
楽しかった時間も苦しかった瞬間も、ミソと過ごした日々の全部がハウンにとっては大切な時間だったんだよな。
ミソの絵を見て「心も絵に描けるんだ」とハウンが気づく瞬間、ピアスを開けるとき怖くないように穴を開ける瞬間にミソが大きな音を立ててくれた優しさ、お互いの振り向きざまの眼差し、こういう何気なくてありきたりなのに後生忘れられないような細やかな描写が大好き。
2人にまつわる全てのことは絶対に一つも欠けてはいけなかったはず。
