瀬口航平

書かれた顔 4Kレストア版の瀬口航平のネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

最高。。。
冒頭の玉三郎さんが圧巻すぎて、そこから一気に惹き込まれる。

メインは坂東玉三郎さんだけど、玉三郎さんが一番尊敬する日本舞踊家の、動く浮世絵こと武原はんさん、言わずと知れた大野一雄さん、レジェンド杉村春子さん、100歳超の芸者である蔦清小松朝じさん、、この時代の日本で存命の芸術家トップ5を集めたんじゃないかという夢の饗宴。。。
坂東玉三郎さんの心身ともに円熟を極めたこのときと、あと数年したらこのうち二人は亡くなってることを考えたら、ここしかないという最高のタイミングの映画化。

玉三郎さん、初めて観たけど、、すごいな、、、、こんなにすごいんだ、、、、昔ドキュメンタリーで観たとは思うんだけど、今のおれが観たほうがすごいと思った。
女よりも女。。。一瞬一瞬すべてにぞくぞくさせられる。頭では男だとわかってるのに、心と身体がこれは女だと言っている。。思わずそそられてしまう。
内側に深い湖のような、宇宙のようなものを常に持って、動いてるように感じた。
表現の表出方法に違いはあれど、全員、とにかく自分自身の外側(社会との関わり含む)と深く向き合い、内側の神秘とも深く向き合い、最も情熱を捧げられるものに生涯取り組んだ、って感じがした。

玉三郎さん、インタビューされてるときがすごく芸術家、って感じがした。ある種のオーラがある。たまにそういう方いる。あんまり居ないけど。
言ってることちょっとわかんないとこあったけど、経験から培われた彼なりの論理があるのだろう。
演出も好き。玉三郎さんが自分の演目を客席から観るとか、視線の先に大野一雄さんが居るとか、少しあり得ない状況下の魅せ方(大野一雄さんは居たかもだけど)をしていて、時間とか空間が少し歪む。その歪みが、もう居ないはずの大野一雄さんや武原はんさんなどを、まだ目の前で生きてらっしゃると錯覚させてくれる感じがした。良い映画でごさいました。
瀬口航平

瀬口航平