くさむすび

ビヨンド・ユートピア 脱北のくさむすびのレビュー・感想・評価

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映画として面白いし、なるべく多くの人に見てもらいたい作品ではあるけれど、命懸けで脱北しようとする家族たちのリアルな行程を易々と楽しんで良いのかという葛藤が後半生まれてしまったので、評価は一旦保留。
とはいえ北朝鮮の恐ろしさをこれでもかと際立たたせる点では、北朝鮮を描いた傑作韓国映画も太刀打ちできないほどの緊迫感と恐怖が作品の中に渦巻いている。語られる事実や映像は、考えるだけでもゾッとするような蛮行ばかり。予告編にも出てきていたけど、長く北朝鮮に住んでいたお婆さんが金正恩総書記について語るシーンが一番怖かった。
脱北を試みる家族、息子が脱北途中に捕まってしまった母、インタビュー形式で北朝鮮の実態を語っていく有識者と脱北経験者。様々な目線から北朝鮮がいかに人権を軽視し、恐怖政治で洗脳を施しているかを見せているのはドキュメンタリー映画として非常に優れた作りだったと思う。だからこそ「脱北の過程で人が死んでたらどうするつもりだったんだろうか」みたいなものは考えてしまうし、自分は安全圏から今作を眺めている。その点に何となくモヤモヤが生じてしまった。折り合いがつけば詳しい点数を付けたい。
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