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ゴッドランド/GODLANDのCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

ゴッドランド/GODLAND(2022年製作の映画)
4.0
【開拓者の傲慢さについて】
第96回アカデミー賞国際長編映画賞アイスランド代表の『Godland』を観た。監督のフリーヌル・パルマソンは荒野にツリーハウスを作る短編『Nest』が面白かったので期待して観た。これがかなり面白かった。

デンマークからアイスランドへ渡り教会を作る。シンプルな内容でありながら、辺境に教会を作る過酷さを追体験させるように上映時間が2時間半近くある。『約束の地』を踏襲したような四隅が丸いフォーマットの中、美しくも恐ろしいアイスランドの地を魅せていく。その様子はネイチャードキュメンタリーさながらであり、特に溶岩を映す場面の幻想的な光景は圧巻である。かつて、ロバート・フラハティが辺境を撮ろうと冒険した時代を意識し、カラーながらもザラついた質感で描くも、2020年代だからこそ捉えられるショットを決めていく。この力強さに惹き込まれていく中で、開拓者の傲慢さが垣間見えてくる。伝道師が内なる葛藤を抱える映画といえば、ベルイマンを想像するが、本作は傲慢さを引き出すことに特化している。

例えば、教会を建てる場面では現地の親方に声をかけられるも、神父はアイスランド語もろくに話さず、「俺に合わせろ」と言わんばかりの態度を取り、建設もロクに手伝わないのだ。そしてそんな社会において、女は男の世話に押し込められる。現地の女<現地の男<開拓者の構図の痛々しさを荒涼としたアイスランドの地を通じて紡ぎ出した本作。フリーヌル・パルマソンの確かな演出力は今後も期待である。
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