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コヴェナント/約束の救出のコマミーのレビュー・感想・評価

コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)
3.8
【約束は…果たす!】




"米軍のアフガニスタンからの撤退"は、様々な弊害を生んだ。
アメリカの情勢にもいろいろ影響を受けたのも事実だが、米軍に訳あって協力した多くの"通訳者や数々の現地の協力者"は、今も多くの方が"タリバーン"に殺されたり、今も命の危機に瀕している。

そんなアメリカとこのアフガニスタンの現地協力者の状況を知った"ガイ・リッチー"監督が、今まで手がけた事なかったドラマ性溢れる"戦争映画"に手を出した。

これはある意味、"ガイ・リッチーらしくない"作品だったのだが、この米軍兵士の"ジョン"と現地の通訳者の"アーメッド"との絶妙な"絆のコンビネーション"を描いた点としては、「シャーロック・ホームズ」シリーズを想起する為、やはりなんだかんだ"ガイ・リッチーらしい作品でもあった"。
"恩を返す"為、"再びアフガニスタンの地に降り立つ"ジョンの気概にも熱いものを感じたが、家族の為に米軍に協力しながらも、ジョンを"家族の元に帰すためにめちゃめちゃ体を張る"アーメッドがほんとに良いやつすぎて泣きそうになった。
これが"実話を元に作られた物語"だなんて驚きの話だが、実際にアメリカはこれらの通訳者達を国外退避させる作戦を2021年に敢行しており、2022年までに2万人もの通訳者とその家族を退避させる事に成功している。

緊張感と感動が入り混じる、ガイ・リッチーの今作は、ガイ・リッチーがアメリカ政府に対する"怒りのメッセージ"のようにも感じ、"希望のメッセージ"にも感じた物語だとも感じた。
どの世界にも時代にも、"他者の為に命を張る人"がいるのだという希望と、アメリカ政府はこれから一生、ちゃんとこの事について責任を負わなければならないというメッセージにも感じ取れ、本作は極めて静かな力強い作品だと感じた作品だったのであった。
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