このレビューはネタバレを含みます
2023年アメリカ/イギリス/スペイン 123分
@T-JOY京都 平日10:45〜 観客27人
"犬が多いな"は2024ベストセリフ候補!
タリバンを一掃するラストにエンタテインメントなカタルシスを感じながらも、この世界はなんという居心地の悪さを作ってしまったのだろうと、あらためてハードな現実を突きつけられる。そんな、なんとも嫌な気分を炙り出す映画が好きだ。そういう作品が好きだ。勧善懲悪な雰囲気を纏うことを選ばないこの作品が大好きだ。ギレンホールの憂鬱な表情でエンドロールへ入る本作が大好きだ。アーメッドが車工場で働くのかなと思うけどそれを見せない本作が本当に大好きだ。現時点で2024マイベスト。
特殊な環境下で生まれるバディな関係。サスペンスフルな危機をかいくぐるキンリー曹長とアフガン人アーメッド通訳。この主従関係が並列になっていく、そこに至る細やかさが秀逸だ。
邦題は「約束の救出」とあるが、救出を約束する場面などはどこにもなく、あくまで仕事として遂行するところが本作の個性で、とても良かった。仕事以上、友情未満。そんな感じで。
ギレンホールはいつものとおり、イケメンだけどギョロ目に味がある。男優目的で映画を選ぶことがほとんどなくなったけど、ギレンホールだけは別のホールだ。
中盤、電話相手にキレまくる演技や、眠れない日々で焦燥していく表現力などはお手のもの。アーメッド役の俳優も出色の表現力だし、キンリーの奥さんの胆力たるや。この人、ヘンテコな話で大好きな「リトル・ジョー」の主人公役を演じた女優さんだ。
ガイ・リッチーのフィルモグラフィーでひときわ異彩を放つ傑作。