Y

夜明けのすべてのYのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
3.8
殊更強く主張された優しさじゃなくて
みんなそれぞれ色々あるよねという距離感に癒される
主演の二人は本当に声がいい

山添くんが時間をかけて感覚を取り戻すにつれて
観ているこっち側もふっと軽くなる
初めて栗田科学のジャンパーを羽織って
光の中、自転車で走るシーンと
プラネタリウムの外にいる時の松村北斗がいいな
三宅唱の映画ってストーリーの細かい部分忘れても
ワンシーンだけずっと覚えて残ってたりするんだけど
きっとこの場面の山添くんな気がする
松村北斗、演技巧いって感じはしないのに
(むしろちょっとぎこちない気すらするのに)
冒頭とは別人なのが、やっぱり演技なんだな、これ

そしてカフェのシーンの渋川清彦が素晴らしい
ここで安易に「よかったな」とか
言わせないのもめっちゃいい
しかしなぁ


皆が皆深刻な事情を抱えすぎだし
上白石萌音のプラネタリウム語りも余りに狙ってて
緻密に組み立てられた構成と併せて
作為的とみるか映画的とみるか紙一重なとこはある

コメンタリーを聞けるというので2度目鑑賞
UDcastってこんな仕組みなんだ!
富士山出てたの気づいてなかったなとか
 #この時の監督のコメント面白い
地震で電車止まって帰れなかったから
山添くん家で残業することにした経緯は
掴みきれてなくて、別の日だと思ってた
(時間の経過の描写かと思ってた)とか、
分かってなかったことも多かった
でも流石に藤沢さんの最初の同僚が
動画撮っちゃったから一緒に怒られてる
(だから動画残ってる)のは分からないな
動画とって後で見せられながら詰問されるとか
肝心な導入部で藤沢さんの辛さより
この会社のヤバさの方が気になったよ、、
山添くんと元上司が会うのがオンライン→
開けた外→カフェのオープン席って辺りとか
りょうが警察署でペン落とすとか
自転車の鈴の音で思いついて洗車し出すとか
基本的には語ることと語らないことの
バランスが絶妙だったなとは思うけど
動画に関してはちょっとマイナス
他にも裏設定色々あったみたいけど
これみよがしな伏線回収は興醒めしたかもしれない
光や立ち位置や音、すべて考え抜いて
作られてるのも分かって興味深かったけど
演出と制作の遊びと、テーマを立てる
ということの両立は難しい
気に入ったからって解説読み過ぎるのも
考えもんだなぁ

エンドロール、弟さんは、ん?って思ってたけど
もうお一方は分からなかった!そうなんだ!
Y