ゆったりのんびり、優しい映画でした。でも退屈ではありませんでした。
パニック障害に悩む男性と、EMSを乗り越えて生き抜く女性の、やんわりと交錯する日常の話。
そこにある「ひとの毎日」だけを描こう、という演出意図が画面からびんびん伝わってきます。
BGMほとんどなし、主題歌なし、わざとザラついた映像。作者から鑑賞者への問題提起のようにさえ思えてきます。素晴らしいです。
「ケイコ 目を澄ませて」を撮ってる三宅唱監督なのですよね。すごいですね。まだ観てないので観なくっちゃ、と思いました。
りょうさん、久保田磨希さん、宮川一朗太さんのキャスティング絶妙。
この映画は、下手に悲劇やパニックがなく、モヤモヤとした苛立ちと生きづらさ?程度で留めている「地味さ」これが、すごくいいんです。
その悲劇や、周りとの葛藤みたいのをダイナミックに描くのではなく、
自分もメンタルヘルスの課題を抱えているからこそ、
「分かるような気がする」「分かったような気になる」「なにかしてあげられるかもしれない」
は自然なことでありながら、
でも、同時に
「違う病気だし性別も違う(EMSなんて特に)」「相手のことはわからない」「調子悪いときに変に絡まれたくない」
も現実だし、自分事としてよくわかる。
お互いのチカラにさほど理想的になれるわけでもなく、でも、お互いの存在は、どこかありがたい。
そこには、大きなドラマや劇的な課題解決はないんです。
でも、多くのひとはそうやって、少しずつのありがたさや支え合いみたいなもので生きている。
それがものすごくリアル。
素晴らしい映画でした、
これはわたしがメンタルヘルスの課題を抱えたことがあるから、かもしれませんね。
あと最後に余計なことを言うと、
上白石萌音さんが可愛すぎて、そっちに夢中で、ストーリーに勝っちゃってます個人的には。後ろ姿が可愛すぎるんですよ。好きです。お嫁さんにしたい。