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夜明けのすべてのfilesのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.2
日々抱えている、重だるい感覚。時々、外に雪崩のようにあふれでてしまうのが、イライラだったり、発作だったりする。
自分の中にもう一つの獣を飼っているようで、こちらがおだやかなときは飼い慣らせるのだが、つらいときは完全に獣と同化してしまう。
心の傷や病と時間をかけて付き合っていく、と言葉にするのは簡単なのだが、その気が遠くなるような時間をどうやって過ごしていけばいいのだろう?毎日毎日、陽は上り、沈んでいくのに。

そんな問いに、この映画はとてもおだやかに丁寧に答えていく。心が自発的に復調していく過程の一つ一つの歩みを描く。
栗田科学は、単純に、小規模だから、優しい人を集めたからできるような、簡単なユートピアでもない。まるで戦場から戻った戦士の健闘を讃えてそっと見守るような、社長が人生の荒波を知っているからこそ作れる場所だった。
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