ベルモット

夜明けのすべてのベルモットのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.2
16mmフィルムで撮影された映像は美しくて素晴らしくて、それだけでも観る価値があるけれど、それに負けないくらい物語が尊い。
切り取られた日常に奥行きがあって、涙こそ流さなかったものの静かな感動が鑑賞後も残っている。

冒頭のモノローグから突き刺さった。
歯車が噛み合わなくてもどかしい気持ちが痛いほど分かる。
生きづらいなんて思いたくないのに、やっぱりそう思ってしまう。
だから、どうしようもない現実と向き合う2人はとても素敵だと思った。
劇中で、男女の友情は成立するかというありきたりな問いに「助けられることはある」というひとつの答えが提示された。
この答えは希望の光だと思う。

繊細で面倒くさい人間が少し愛しく思えた週末。
きっと月曜日にはまた人間が嫌いになるんだろうな。
ベルモット

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