ベルモット

キリエのうたのベルモットのレビュー・感想・評価

キリエのうた(2023年製作の映画)
4.2
あっという間の178分。
小説を途中まで読んでいたからか、むしろ時間が足りなかったようにも感じた。
もっともっとキリエの世界にいたかった。

誰もが過去を背負いながら、ときどき信じられないほどの不幸と幸福とに出会い、それをまた過去にして、今を生きている。
何が正しかったのか、どうすればこの痛みは消えるのか。
立ち止まってはそんなことを考える。
キリエの歌は、その全てを優しく包み込んでくれた。
凡ゆる人の過去を一緒に背負い、物語が進むにつれて重みを増していく。
言葉が言葉以上の意味をもち、音楽が音楽以上の感動を生む。
そんな歌だった。
そして『キリエのうた』は間違いなく、最高の音楽映画だった。

小説の残りを読み終えたらもう一度観にいこう。
幸せな時間はそう長くは続かないけれど、何度でも迎えに行っていいはずだから。
ベルモット

ベルモット