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夜明けのすべての70のレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.5
随所に挿入されるビルの灯りと優しい音楽が印象的だった、自分のことを少し振り返ると激鬱の新卒時代、自分より何回り上でも角が取れずまるで可塑性のない人々の機嫌に左右されながら無理難題を迫られる毎日、定時に帰れるなんてことはなく外はいつも真っ暗で、いつしかビルの灯りもそんな日々の添え物みたいになっていた、そう過ごすうちに子供の頃からずっと好きだった夜空にも殆ど興味を失っていた、というより嫌なことと結びつくから無意識に避けていたのかもしれないけど、その一方で「次の日来るな」と切に願う対象でもあった夜は嫌いだけど終わらないでほしい存在だった、そんな風に複雑な思いを抱えながら迫り来る朝に胃を痛めていた自分へ「違って見えるようになったぞ」って密かに感激してしまった、ほぼ毎日夜景を見ているはずなのにこの作品を観て気づいたのだから感謝が絶えない、そして物語ではその形は違えど2人を理解しようとする人々が沢山描かれていてめちゃくちゃ心地良かった、山添はその性格上最初は興味の赴くままに突っ走ろうとしただけかもしれなかったけど本まで借りる姿にちょっと驚いてすぐに見直してしまった、私は人に優しくできる余裕がなくて色んな人を自ら遠ざけてしまったけど、時に失礼ながらもその甲斐ありこちらも遠慮不要で、自分が醜いと思うところも見せられる人がいてくれたらどれほどよかったか、これ2年前に観てたらびーびー泣いてたな
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