私もと言ったらおこがましいけど彼ら以上に長く生きているのにいまだに自分の体をコントロールできない。だからみんな誰かを頼って生きてるし支え合って生きてる。出てくる人たちみんな優しいというか良い人ばかり。現実そんな人たちばかりだけではないし理想的な世界だなとは思うけど、でも実際こういう人たちはいるし、それは監督の願いでもあるのかなと思ったりする。彼らが若者を包みこもうとする優しさに泣ける。
病気が治るわけではない、死んだ人が生き返るわけでもないが自分の心うちを理解してくれる人がいるだけでも生きやすくなる。
PMSやパニック障害とがっつり組み合っているのが好印象。テーマを絞って掘り下げた結果、ちゃんと映画的な感動を呼んでいる。必要以上に展開は作らず淡々と日常生活を追うだけなのに面白い。彼らはこの世界のどこかで生きているという実存感が際立っている。
町の工場長的立ち位置をやらせたら右に並ぶ者はいない光石研や後輩を優しく見守る渋川清彦。嫌な役回りじゃなくて良かった。
音楽も撮影も良い。住宅街から見える一つ一つの灯りはそこに生活があることを知らせてくれる。プラネタリウムの星と重なる。鑑賞後、静かな高揚感を与えてくれる。
