ずが

チャレンジャーズのずがのネタバレレビュー・内容・結末

チャレンジャーズ(2023年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

とにかくパワーをひたすらに感じる映画だった。ラスト10分のテニスシーンはもちろんの事だがストーリー上における愛や性のパワーがとてつもない。それを強く伝えてくる要因は1つではなく脚本、映像、音楽、演技。全てからひしひしと感じさせる、全てにおいてハイクオリティな映画だった。

ストーリーの初めはパトリックとアートがチャレンジャーズ決勝での試合のシーンから始まり、彼らのジュニア時代である13年前に話は遡る。タシとの出会いで拗れていく2人の関係性や友情クラッシャーのタシ。13年にも及ぶテニスと愛の物語なので重くなりそうな題材だが過去の話として描くことでそこは敢えて軽めに見れるように作られており、セクシャルコメディとしての楽しみ方が出来た。ジュニア時代のタシと寝たらやるサーブ前の動きをラストに持ってくる辺りの伏線回収も盛り上がりました。

映像面では特にラストのテニスの試合のシーンで驚かされた。ボール視点で二人の間を行き来するアングルや芝生の視点のようなアングルが特徴的だった。コートを俯瞰で映したり、プレイヤーの背後からのアングルだけでなく独特なカメラワークを駆使しているのもこの映画の好きな所でした。観客だけを映すシーンでは多くの客はボールを追って首を左右に動かすが、真ん中に鎮座するタシだけが首を動かさず目の前の試合とはまた別の戦いを見ているような表現に感じた。そんなタシもラストのマッチポイントには必死にボールを追いかけていてそのギャップが展開の白熱を加速させた。

音楽も素晴らしかった。特徴的なのはEDMが多く使われていた所。会話のシーンでも流れるだけで作品が締まり、盛り上げるところはここぞと流してしっかり盛り上げる。かと思いきやセックスシーンではクラシック調な曲を使用したりなど面白いセンスだった。ヒューマントラスト渋谷のシアター1オデッサで鑑賞したのは間違いなかった!


最後に演技。MVPはやっぱりゼンデイヤ!映画に出始めてからこれまでの演技の印象は静かで真っ直ぐな役が多かったように感じます。今回は強くて癖のある、ただカリスマ性があり目を離せない女性を上手く演じていたと思います。個人的にベストアクト!ジュニア時代に2人と出会い、3人でベッドでキスするシーンは特に印象的。2人を誘い込み3人でキスをしたかと思えば自分は離脱し2人がキスするのはニヤリと笑いながら眺める。ここがラストの2人の試合を見る所とリンクしてくる。今回のゼンデイヤさんの演技は圧巻でした。
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