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おまえの罪を自白しろのshinodogのネタバレレビュー・内容・結末

おまえの罪を自白しろ(2023年製作の映画)
2.1

このレビューはネタバレを含みます

真保裕一同名原作を水田伸夫が映画化した本作。
大物政治家の宇田清治郎の孫娘が何者かに誘拐され、犯人からの要求は「明日午後5時までに記者会見を開き、お前の罪を自白しろ。」

予告編で惹かれて、観たいなと思っていたら、早くもAmazonprimeに追加されていたので早速鑑賞。
ちなみに原作は未読。
相変わらず勉強不足である。

・良いところ
俳優陣がとても豪華。
観ていて安心感がある人たちばかりだった。
中島健人かぁ、堤真一とか他の俳優に食われちゃうんじゃない?と思っていたけど、それなりに良い演技をしていたんじゃないかなと思う。
ただイケメン採用枠じゃなかったのでそこは驚いた。
池田エライザが個人的に好きで1人娘を失うかもしれない狂気がしっかりと滲み出ていて、短い出演ながら引き込まれる演技をしっかりとしていた。
同じ1人息子もつ父親としてすごく共感してしまった。

・悪いところ
まず、尾野真千子があんなちょい役でいる時点で、怪しい。
ここの配役は雑すぎる。
なんかあるだろうと思ってしまう。
で、誘拐犯の動機がまあバカすぎて話にならない。
「いつも被害を被るのは名もない庶民」
的なテーマにしたいんだろうけど、
まず、橋建設のための立ち退きの補償金を当てにして借金こさえて新しい工場を建てようとする浅はかさ。
加えて、ほとんど事故で親父を殺してしまって通報もせずに埋めてしまうクズさ
さらに今度は建設予定地にされたことで掘り返されちゃうからと言って、大物政治家の孫娘しかも幼女を誘拐するという第一級の犯罪で上塗りするというバカさ。
それで、迫真の演技で「こうなったのは誰のせいですか?」と問われても、こちらはなんの感情も揺さぶられません。
誘拐パートも、
刻々とタイムリミットは迫るけど、特段何かを用意しなくちゃとか、犯人を見つけないととかそういうわけでなく、あくまで宇田清二郎自身が語るか語らないかの選択なので全く緊張感もない。
また彼が真実を語ることで、総理大臣及び他の政治家に影響が出てしまう、その駆け引きもほとんどなく進行するので、話のスケールがものすごく小さく見えてしまっている。
宇田清二郎自身も強かな政治家なのかと思ったが、存外あっさりと自分の罪を告白するので結構拍子抜けしてしまう。
もっと彼なりの葛藤を描かないと、カタルシスは生まれないと思う。
もしくは、孫娘すら切り捨てるくらいの演出はあっても良かったと思う。
警察陣営もまあ無能で、なんであんな騙し討ちまでしないと犯人がわからなかったのか?
ただの素人集団なのだから絶対足は着くはずである。
監視カメラとかない世界線なのかな?
そして、あの騙し討ちも現実的に考えて、警察の威信に関わる重大な問題なため通常であれば警察庁あたりから待ったがかかるはずなので、実に荒唐無稽な展開である。
記者たちに詰問されて、謝罪して、はいおしまいって訳にはいかない。
わからないけどこれ自体法律違反にならないのかな?

テーマ、設定ともに緊迫感のある誘拐サスペンスかと思ったが終始緊張感もなく、
“平成初期のたまたまテレビつけてやってた2時間ドラマみたいな映画”だった。

豪華な俳優陣の政治家ごっこは必見な1本であった。
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