馬刺し

ビデオドローム 4K ディレクターズカット版の馬刺しのレビュー・感想・評価

3.6
一体ここは現実なのか幻想なのか、わからない中で少しずつ蝕まれていく主人公。。
VHSが生き物のように動いたり、主人公が銃やビデオと肉体的に交わったりする描写は斬新でグロテスクで魅力的。

不気味で独特なクローネンバーグの世界観は気持ち悪いけど癖になる。

「サムライドリーム」。タイトルが結構好き。ざっと見た感じ、映像に侍がいないというツッコミどころ。良い。そして最初のシーン。日本人の唐木田の助手の「ワカリマセン」が絶対日本人じゃないw


哲学を持たない主人公はビデオの力によって右往左往されていく。幻想なのか現実なのかはもはや関係はなく、現実に見えるものではなく、映像で与えられた情報だけで、彼は物事を選択していく。
これは皮肉にも我々の現代社会にも当てはまる。SNS、YouTube、テレビニュース。本当のことは誰もわかりはしない。しかしそれを鵜呑みにし、信じ込むことで、映像はたとえ虚構のものだとしても観るものにとって一つの現実世界の体験になるといえる。


刺激物は癖になる。アダルトビデオ、バイオレンス、グロ映画。過激なことをすれば次にもっと過激なことを求められる動画投稿者。視聴者は刺激に飢え続けているのだ。
それは脳に腫瘍を作ると言っても過言ではない。いつしかそれにのめり込んで仕舞えば、情報過多な社会に踊らされ、我々だって、メディアというものに洗脳され、人を殺してしまうことだってあるのだ。
馬刺し

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