にゃーめん

ブルックリンでオペラをのにゃーめんのレビュー・感想・評価

ブルックリンでオペラを(2023年製作の映画)
3.0
アン・ハサウェイ×ピーター・ディンクレイジという異色の組み合わせに惹かれて鑑賞。

「ブルックリン」と名のつく映画では、推し俳優のシアーシャ・ローナン「ブルックリン」(2016)が好きな映画の1つで、
ブルックリンという街そのものが、新たな出会いや繋がりを期待させるようなイメージがあるため、邦題と原題がマッチしてない問題は個人的には些末である。

ピーター・ディンクレイジ演じるオペラ作曲家とマリサ・トメイ演じる、曳き船の船長の大人のラブコメを主軸に、10代の男女のピュアな恋愛模様も同時並行していくという、設定が盛り盛りゆえの先の読めなさは新鮮。

気になったのは、スクリーンサイズがコロコロ変わる点だが、これは狭いシーン(船室等)では狭さを演出したものだそう。
(意図は分かるけどやり過ぎは集中力を削がれるのよね…)

出てくる大人達が全員クセ強すぎで、何かと拗らせている人たちばかりなので、若者カップルの若さゆえの純愛がとにかく眩しい。
(カゴの中の2匹のインコ🦜の色が、彼女側の部屋の黄色と、彼氏の部屋の水色と同じ色なのも凝った演出。)

「30歳になった頃に別の愛する人と一緒だったとしても、今一緒に居たい」なんて17,8歳の頃しか言えない台詞だわ〜!
甘〜〜〜〜い!甘すぎる〜〜!

そんなウブな10代の恋愛話の一方、大人メンバーの拗らせが強烈。

潔癖症で、掃除好きの精神科医パトリシア(アン・ハサウェイ)は、神経質なほど清潔に拘ったり、修道院へ寄付をしたりボランティアで気持ちを安定させているというのも、ある意味依存症ではあるので彼女は彼女なりに精神的に病んでいたとも取れる。

女船長カトリーナ(マリサ・トメイ)は恋愛依存症かつ逮捕歴があるがゆえに、船員も何かしらの訳ありで、そんな船員を束ねる懐の深い人間であるという点は、もう少し深掘りしても良かった気がする。

そんな女船長こと"魔女"に喰われるスティーブン(ピーター・ディンクレイジ)がずっと困り顔なのが印象的。
芸術は多方面から受けたインスピレーションで創造していくものとはいえ、あんなに自分の体験そのまんまなオペラを作ったらそりゃカトリーナも勘違いしてしまいますわ。

原題:She Came To Me(彼女が降ってきた)
のSheが、このクセ強すぎな女船長である事が判明する中盤から、後半に向けての物語のまとめ方は少々荒っぽいが、102分でサクッと観れる内容なので、同じNYが舞台の「パストライブス」が合わなかった方にはおすすめかも。

ブルックリンという街への憧憬が更に強まった1作である。
にゃーめん

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