りっく

SISU/シス 不死身の男のりっくのレビュー・感想・評価

SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)
3.8
90分という尺のうえに章立ての構成になっており、物語も人間ドラマや台詞を極力まで削ぎ落とし、シチュエーションにバリエーションをつけながら不死身の男とナチスとの攻防に焦点を絞ることで非常に見やすい娯楽作に仕上がった。

相手の急所に無駄なくダメージを与えるプロフェッショナルな肉弾戦はもちろんのこと、地雷を相手に投げて爆発させ、相手がパニックに陥り地雷原を走り回り自爆する、バラバラになった死体の一部が他の地雷に接触して爆発する一連の地雷の連鎖場面がとても面白い。

不死身の男も完全無欠というわけではなく、年相応のダメージを喰らい、動物を愛し、最後にはユーモラスなオチをつけるあたり、きちんとキャラクターに血を通わせようとする作り手の意図を感じる。囚われの身となっていた女性たちの解放・連帯といったフェミニズムが前面に出てくる展開は唐突感が否めないが、満足度の高い一作。
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