シンプルな展開でもカタルシスが十分味わえて満足。荒廃した景観とナチス・ドイツ軍の残していった凄惨な傷跡を見せるオブジェクトの映像も惹きつける。副題バレもあって死なない爺さんだと分かっているから、場面場面この状況でどうやって生き延びるのか?と勝手に想像しながら見てしまう。
執拗に命を狙うドイツ兵らに屈せず何処までも反撃を諦めない老兵コルピの気概は、隣接する大国ロシア/ソ連の長年にわたる侵攻に孤軍奮闘で立ち向かってきた歴史をもつフィンランドそのものが重なる。2022年にNATOへの加盟申請、翌年に正式加盟を果たした自国の転換を、監督をはじめこの映画の作り手はどう見ているのだろうか。