爆裂BOX

ヒッチハイクの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

ヒッチハイク(2023年製作の映画)
3.2
2チャンネルのオカルト板スレッドの洒落怖に投稿されてその後まとめサイトなどでも「トラウマになる」と殿堂入り果たした怪談話を映画化。「きさらぎ駅」に続いてまさかこれまで映画になるとは思いませんでしたよ、と言ってたら「リゾートバイト」も映画になるとは…
女子大生の涼子と茜はハイキング中に道に迷い、運よく一台のキャンピングカーをヒッチハイクするも、運転席から下りてきたのはカウボーイの格好をした男ジョージ。更に車内には異様な雰囲気をした彼の家族が乗っていた。一方、過保護な母にウンザリしている健は悪友の和也と同じ山でヒッチハイクをして一台のキャンピングカーに乗せてもらうが…というストーリーになっています。
基本的には元ネタのお話を大枠にしながらオリジナル要素で肉付けしていった感じですが、序盤は映画オリジナルキャラの涼子と茜が主人公の様に登場して、キャンピングカーをヒッチハイクして異様な家族と雰囲気に遭遇しますが、すぐに主人公である健と和也のターンになって同じくキャンピングカーをヒッチハイクすることになります。元ネタでは主人公と二人無計画にヒッチハイクで地元に帰るしか目的なかったのを、映画では和也に実はある目的がある事が分りますが、このオリジナル要素あんまり上手く活かせてなかった気がしますね。アッサリ退場しちゃうし。
何といってもジョージを演じた川崎麻世の怪演ぶりが大きな見所と言えますね。運転中に家族と一緒に「おおブレネリ」大声で歌う所の美声と言い、この映画の中で大きな存在感示してました。元ネタでは「ミッ〇ーマ〇スのマーチ」でしたが、流石に権利関係で使えなかったのか。双子の赤と青は元ネタの40歳代の双子のオッサンではなく美少女に変えられてましたが、こちらも不気味さはあって良かったな。白塗りジョセフィーヌも悪くはなかったけど、ブッチャーはちょっと迫力と不気味さ不足してたかな。映画では名無しの(元ネタでは「マモル」という名前があった)中盤とオチで出てくる毒々赤ちゃん出オチでしたが、これは元ネタでもそうだったな。
主人公達が招かれた晩餐シーンももっと狂った感じ出してほしかったですね。振舞われた料理に使われてた肉は実は…というオリジナル要素もありますが、ここもぬるかったな。どうせ盛り込むならR-18ぐらいのゴア描写出してほしかったですが、後半の殺人シーンもオフスクリーンでCGの血が飛び散るくらいだし、生首も出てきますがゴアな感じはしなかったな。ショットガンでジョセフィーヌの顔が吹き飛ばされる所が一番のゴア描写と言えるけど、ここもCGでグロくは感じなかった。
中盤からは凶器を持った一家が主人公と涼子を追い掛けてくるマンハント物っぽくなるけど、主に危害加えてくるのブッチャーとジョージで、ジョセフィーヌと赤と青がほぼ活躍しないのも残念。後、女子大生二人と主人公と和也の4人が被害者側として登場して、実質直接殺されるシーンあるの和也だけと少ないのも残念。
いくら和也が「お前たちは逃げろ!」と言ったからって少しの躊躇もなく本当に涼子と逃げるし、足怪我して引きずりながら必死で逃げる涼子を「助け呼んでくるから」と言って置いていったりと主人公のは薄情ぶりとヘタレぶりにはちょっと笑ってしまいました。車に乗せてくれた店の主人に「本当にこのまま行っていいんだな!?」と訊かれてコクコク頷く所も笑った。戻って来て涼子助けて家族と戦う所はちょっと見直したけど、どうやって戻ったのかも描かれなかったな。
何処まで逃げても元の場所に戻って出られない森や時間のずれ、最後のオチと涼子の正体等の不条理感というか「世にも奇妙な物語」っぽい感じは元ネタの元ネタの「レストストップ」の影響感じさせますが、洒落怖のほうは物語的なまとまりや面白さは上と感じましたが、映画はそこを上手く出せてなかった気がするなぁ。
川崎麻世とキ〇ガイ家族はいい味出していた作品だと思います。同じく洒落怖でドライブ中に異常な世界に迷い込む「ドライブイン」とかも映像化したら面白そうではあるな(「きさらぎ駅」のスタッフでしてほしいですね)