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トップをねらえ2! 劇場版のmaverickのレビュー・感想・評価

トップをねらえ2! 劇場版(2006年製作の映画)
4.0
『トップをねらえ2!』は、ガイナックス設立20周年記念作品として制作された全6話のOVA作品。88年の『トップをねらえ!』の正当なる続編である。本作は再編集され、新規カットを追加した劇場版。『トップをねらえ!&トップをねらえ2! 合体劇場版!!』として、前作の再編集劇場版と同時上映された。

前作の監督であった庵野秀明は、本作では監修という名目で作品にはほとんど関わっていない。また前作からはメンバーも大幅に変わっており、それが作品性に如実に表れている。自分はまず、このガラリと変わった見た目が受け入れられず、2を観る気にはならなかった。でも今回本作を観て、前作とは大幅に変わった部分はありつつも、しっかりと『トップをねらえ!』という作品性を受け継いでいるのを感じた。ガイナックスの代表作である作品を、自分達で大事にしている気持ちが伝わる。オリジナルを大事にしつつ、今の日本のアニメーションの要素を活かした独自性とで新旧の世界観を両立させてある点も上手いと思った。これはちょっと食わず嫌いだったな。

前作から12,000年後の、遠い未来の太陽系が舞台。なるほど。そりゃ技術も異なるだろうし、人類の見た目も変わっていておかしくない。とはいえ前作のイメージを期待して鑑賞すると、がらりと変わったテイストに最初は違和感がある。絵は奇麗でグリグリ動くけど、特に面白味はない。今時風のいちロボットアニメに成り下がっちゃったなというのが前半の感想だった。しかしこの前半の下りはフェイクであり、途中で明かされる真実への伏線。そこからの展開は胸熱。なるほどそういうことかと、前作からの繋がりに驚かされる。これは前作を観た人にこそ分かる熱さ。本作単体というより、1と2合わせての作品性であるなと。2を観れば、より前作への愛も深まる。

この後、07年にガイナックスは『天元突破グレンラガン』を制作するのだが、その片鱗が本作に垣間見える。設定は『トップをねらえ!』、ビジュアルと演出は『天元突破グレンラガン』って感じかな。ちなみに主人公ノノの声の福井裕佳梨は、グレンラガンでニアの声を演じている。ガイナックス作品ではお馴染みの声優さんだね。

庵野秀明監督は、本作公開後にガイナックスを退社。その後ガイナックスは『天元突破グレンラガン』でヒットを飛ばすも、度重なるお家事情で衰退。優秀なスタッフは次々と退社し、現在は関連会社のスタジオガイナに制作事業が移行した。スタジオガイナにより、『トップをねらえ3』が制作される予定だというが・・。このまま綺麗に、ここで完結でいいんじゃないかな。
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