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イコライザー THE FINALのmaverickのレビュー・感想・評価

イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)
4.6
2023年のアメリカ映画。『イコライザー』シリーズの第3弾。


デンゼル・ワシントン初の続編映画となった前作を経て、まさか3作も作られようとは。このシリーズが大好きなだけに、ファイナルとなった本作は非常に感慨深い。デンゼル・ワシントンも歳を取ったし、鑑賞前には少々不安もあった。だがそんな心配をよそに、本作の出来は堂々たるもの。デンゼル・ワシントン自身の老いは確かに感じるものの、それが上手く作品内に取り入れられている。老いたからといって、アクションに切れ味が無いわけでもない。最低限の動きで敵を葬る主人公マッコールのかっこよさに凄味を感じる。佇まいや表情で、その凄味を表現してみせるデンゼル・ワシントンの圧巻の演技は素晴らしいの一言。そしてそれを最大限に生かした監督の見せ方も芸術級だ。残忍で暴力的ではあるが、本作の美しさには思わず感嘆してしまう。理不尽な世の中だと思うがゆえに、この勧善懲悪な物語を愛しく感じるのだ。

舞台はイタリア南方の田舎町。マッコールと地元住民との心の交流を描きつつ、それを踏みにじられた彼の怒りの殺戮劇が展開する。速さに特化したマッコールの凄腕アクションが本シリーズの持ち味。本作でも、観る側の予想の一歩上を行く秒殺っぷりには何度も度肝を抜かれる。マッコールと比べると敵は小物だが、アクションの見せ方が上手いので迫力満点で安っぽさは全く感じない。悠々と敵を屠るマッコールの凄味にただただ圧倒される。ただ強いだけでなく、頭が切れるのがこの男の凄いところでもある。彼に目をつけられたが最後。どんな強大で凶悪な組織も壊滅させられてしまうのである。

CIA捜査官役でダコタ・ファニングが出演している。デンゼル・ワシントンとの共演は、彼女の子役時代の『マイ・ボディガード』以来。その年月も集約されたかのような、二人のやり取りの演技には思わずぐっと来る。こんな部分に感動出来るのも映画好きならではのこと。喜びに満ちた鑑賞が出来て幸せだった。


まさかの3作目。ファイナルとのことだが、幕引きに相応しい見事な出来で感動した。原題ではファイナルと付いてないので、これで最後とは言い切れない。けれどデンゼル・ワシントン主演で3作まで続いたのがそもそも稀である。年齢から考えても続編の可能性は低そう。これで終焉というのが物語的にも美しい。あとはマッコールのその後の人生を想像して楽しむとしよう。
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