2018年に製作された『ゲゲゲの鬼太郎』のテレビシリーズ第6期をベースとした劇場用作品。鬼太郎の父が目玉おやじになる前の話であり、鬼太郎のルーツが描かれる物語となっている。水木しげる生誕100年記念作。
これは想像以上の出来。『ゲゲゲの鬼太郎』らしいおどろおどろしい話であり、妖怪を扱った話としての怖さがある。鬼太郎の生誕以前を描くエピソード０の作品としても興味深く、原作をさらに深掘りさせるような良く出来た物語だ。水木しげるの絵柄の特徴を取り入れた美麗なアニメーションと、気合の入った戦闘シーンなど劇場版らしい迫力も申し分ない。評価が高く人気なのは知っていたが、よもやここまでの良作だとは思いもしなかった。原作に最大限リスペクトを捧げた見事な完成度である。
キャストは実力のあるベテラン声優で構成されており、それが作品の安定感にも繋がっている。上手いなと思うし、味がある。熟練された声の演技を楽しむというのも本作の醍醐味だ。
えげつない話であり、それが何とも『ゲゲゲの鬼太郎』らしいなと。やりきれなさと物悲しさに満ちているが、それでも最後は希望を感じさせるのが好きだ。
本作を観れば、原作がより好きになる。これは良作だ。水木しげる生誕100年記念作品に相応しい。今作をベースにさらにテレビアニメ版も作ってほしいくらいである。
