MotelCalifornia

星くずの片隅でのMotelCaliforniaのレビュー・感想・評価

星くずの片隅で(2022年製作の映画)
4.1
公開前の舞台挨拶付き先行上映会へ。
ラム・サム監督と、主演のアンジェラ・ユンが登壇。
銀杏BOYZのジャケットやVaundy のMVで日本では知られているアンジェラ目当てで見に行ったのだが、映画としてもとても良かったからよかった🤣
コロナ禍の香港。神様の目にさえ留まらないような社会の片隅で暮らす人々が、お互いを見つめ合い、支え合う話。

コロナで仕事がなく困窮しているアンジェラ演じるシングルマザーのキャンディは、ザクが経営する清掃会社に飛び込みで雇ってくれと押しかける。器用に清掃をこなして正式に雇ってもらえるようになったキャンディだが、盗み癖があり生きるのもヘタクソなせいで、せっかく得たザクからの信頼をあることをきっかけに無にしてしまう。
ザクも老母と二人暮らしでカツカツの生活をしているが、より貧困下にいるキャンディ母娘を放っておけず、手を差し伸べ続けるのだが、母を亡くしてからはザクもまたキャンディ母娘が心の支えになっていることに気づいていたのだが…っていう話。

監督によると、コロナ前には脚本を書き上げていたが、撮影準備段階でコロナに突入してしまい、内容を書き換えたそう。そうしているうちに、アンジェラのスケジュールが空いて出演も決まり、結果的にはよかったと。

ほんとに、この映画の魅力はアンジェラに負う部分が大きいと思うので、よかった。並の女優では悲壮感が前に出過ぎたり、腹立つ感じの人物造形になりかねないところを、ポップな女の子であり、友達親子の母でもある、多層的で複雑な陰影がある魅力的な女性としてうまく演じていた。

貧困状態にいるけどカラフルなファッションとカラフルな部屋でプライドを保っているように見える点では、ディズニーワールドのすぐ近くのカラフルな集合住宅に住むシングルマザーの母娘が登場する『フロリダ・プロジェクト』を彷彿とさせた。母娘をそばで気にかける存在がいる、と言う点も共通していた。

ただ、『フロリダ・プロジェクト』のウィレム・デフォーは初老の男性だったが、ザクはだいぶ歳上とはいえ、中年というよりは青年寄りの年齢で、キャンディと恋に落ちてもおかしくないのに(映画のストーリーの中では、ハッキリとは)恋愛関係にならないというのも、好感が持てた。

その点について、監督やアンジェラの意見がインタビューアーの方から聞いてくれて、その答えも興味深かった。

ザクがとにかく良い人で、こんな男本当にいる⁈って思ったけど、監督はザクは自分が今までに出会ってきた名もなき人、社会からは顧みられない人々の集合体で、そんな片隅にいる人がモデルなんです。と言っていて、感動した。ザク役のルイス・チョンも、カッコ良すぎず、でも男気のある佇まいで、とても良かった。

とにかく、香港の地味な細い路地(英題はまさに”The Narrow Road”)の片隅の暮らしを描くため、普段目にする香港とは違う街並みだった。リアルにコロナ禍で撮影されたせいもあるのかもしれないけど。
そのことで、むしろわかりやすい魅力的な街並みを捉えた映画よりも旅情を掻き立てられた。

いい映画です。公開後もぜひヒットして欲しい。そして、なかなか日本では観られないアンジェラの出演作ももっと見やすくなる未来が来ますように!

終演後、映画館の外で即席のサイン会が行われた。そんなことに出会した経験がないから驚いた。カジュアルだなー笑。ありがとう、配給会社の方、映画館の方。そして、監督とアンジェラ!
わかっていたら、銀杏のアルバムとか川島小鳥氏が撮影した彼女が被写体のちいさな写真集とかを持参したのに…
次回作で来日した時には、絶対それらを持っていくぞー。

インスタのストーリーに舞台挨拶の様子と映画の感想をアップしたら、まさかの本人がそれをシェアしてくれた😮
推しに会えてサインもらえてSNSで認知されてお礼をもらえるなんて、死ぬかと思ったよ!😆
悶絶…

(情緒がおかしなレビューになってしまった😅)
MotelCalifornia

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