ぴよ2522

碁盤斬りのぴよ2522のレビュー・感想・評価

碁盤斬り(2024年製作の映画)
4.1
格之進の所作も
暗闇に光る行燈の灯も
浮世絵のような遠景も
腹に響くような太鼓の音も
縁あって寄り集まった人の粋も
全てが美しかった。
特に光は大好きな葛飾応為(北斎の娘)の浮世絵「吉原格子先之図」を想起する美しさ。

柳田格之進という落語がベースだそうで、さすが起承転結が整っていてわかりやすい。
難解で解釈がわかれるような作品もいいけど、わかりやすい分表情や目の動きから伝わる心情に集中できる作品もいい。
主演の草彅剛は佇まいで魅せる役者だと毎回思う。
この人は言葉を奪えば奪うほど感情表現の凄みを増す気がするわ。
あとは女性が粋で逞しく、凛としていてとてもかっこよかったのと、兵庫から見た世界も見てみたいと思った。
きっと全く違う世界が見えるんだろう。
清廉だけが正義じゃないよね。

一見さんお断りの碁会で騒ぎを起こされて会をめちゃくちゃにされた挙句手下は死ぬわ庭先に死体放置だわ、胴元散々だな。
あと、ラスト近くの宴、お前が唄うんかーい!って吹いた。
ごめん途中の展開で私はあなたを少し疑っていたよ。
ああいうお調子者結構好き(笑)
碁盤を抱えていそいそと座敷に向かう國村隼演じる源兵衛が賭け碁に興じていた時と別人で、嬉しそうで楽しそうで幸せそうで。
だから余計にラストはちょっと切なかった。
時代劇は勧善懲悪が様式美だけど、どのキャラクターにも背景がありこれが正解だと言い切れない余韻を残すところが今の時代劇なのかな。
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