Mariko

碁盤斬りのMarikoのレビュー・感想・評価

碁盤斬り(2024年製作の映画)
3.5
雰囲気は陰影を生かした映像が見事だったし、役者も概ねよかった。
けど、ストーリーが今ひとつ腑に落ちないところがあって、なんとも微妙な感じ。

いちばんは、『柳田格之進』という落語と今作オリジナルで足した仇討ちの話があまりマッチしていなかったんじゃないか、ということ。
実直な(実直すぎる)侍の仇討ち、に見合うテイストは結構重め、映像もそういう方向でまとめてあるんだけど、いかんせんもとは落語なので、結構なおおごとをうっかりやらかしちゃう粗忽もの、とか、やらかしたのは誰かを巡って「罪を負うのは自分だ」「いや自分の方だ」「いやいや…」みたいな、落語によくあるコントのようなくだり、とか、そういう軽妙なやりとりが当然あるわけで、その折り合いがどうにもしっくり来ない。

もうひとつは、少なくとも私にはこの柳田格之進という人の今作でのキャラクターがよくわからなかった、という点。
「実直で、常に正しい行いとしていたい」という人のはずだと思うのだけど、序盤で、溜めていた家賃の支払いに充てるはずだった一両を、ふらりと立ち寄った碁会所で賭け囲碁に手を出して、謎に(後から説明はされるのだけど、そこで納得するのは何故勝てる勝負で負けたのか、という理由だけ))全額擦ってしまう、という行動を見ているので、実直な人がそんなことをするかなあ...とずっと思いながら観ていたわけで、終盤のカッコいい去り方もおかげで今ひとつしっくりこないという残念な話。

表情をあまり面に出さない草彅くんの佇まいはとてもよかったし、凛とした清原伽耶ちゃんも素晴らしかった。
一方、中川大志くんの番頭(出は侍)の似合わないこと...。彼は畠山重忠でも、もっと遡って豊臣秀頼も、かなりハマってたので、時代劇がダメなはずはないのにあの似合わなさはわざと?と疑問になるレベル。
國村隼さんは、そりゃあ出てくれば流石の存在感だけど、キャラ的に、あんな心を入れ替えたみたいなこと言ってるけど実は裏があって、、みたいな展開かな...?などと勘繰りたくなってしまった笑。
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