◆あらすじ◆
柳田格之進(草彅剛)は冤罪で藩を追われ、娘のお絹(清原果耶)とともに貧乏長屋で暮らしていた。ある日、囲碁をきっかけに萬屋源兵衛(國村隼)と知り合い、懇意な仲となるが源兵衛の店でお金を紛失したことで格之進は濡れ衣を着せられる。そんな中、藩の冤罪の真犯人が判明したことにより、お絹は紛失したお金を用立てるために遊郭に身を落とし、格之進は真犯人への復讐に向かう。
◆感想◆
冤罪により藩を追われた主人公が真犯人への復讐を果たすストーリーとなっており、謹厳実直過ぎる主人公の浪人とそれを支える娘の健気さがとても印象的な作品となっていました。
主人公の柳田格之進は生真面目で融通の利かない部分があってとても生きにくそうな人物に見えました。彼は藩を冤罪で追われ、妻も失って娘と2人、貧乏長屋で暮らしているのですが、それでも穏やかでその生活を楽しんでいるように感じて不思議でした。格之進は萬屋源兵衛と囲碁で知り合いとなり、親交を深めていきます。源兵衛が格之進との囲碁を通じて、それまでのケチな性格から誠実な性格に変わっていく様子も観ていて気持ち良かったです。
しかし、源兵衛の店でお金の紛失事件が起き、その疑いが格之進にかけられたことからストーリーは張り詰めた雰囲気に包まれます。源兵衛の店の弥吉(中川大志)が格之進に尋ねただけだったのですが、格之進は激昂します。武士の誇りなのか、それとも以前に冤罪で藩を追われたことが原因なのか、分かりませんが格之進の怒りの強さが凄かったです。
また、格之進のもとに藩の役人が現れて、かつての冤罪事件の犯人が分かったことが告げられます。最悪のタイミングで話が入ってきて、格之進とお絹は分かれてそれぞれの戦いに挑むのですが、これがスリリングでストーリーを面白くしていました。しかし、源兵衛の店のお金の話を解決してから復讐に出ても良かったのではないかな、と少し思いました。弥吉も源兵衛に話してもっとお金を探そうよ。
本作では囲碁が大きな役割を果たしていて、格之進の囲碁の達人ぶりがストーリーを面白くしていました。源兵衛など多くの人々と囲碁を介して会話しているような感じがあって、独特なものを感じました。
本作は時代劇ですが、元々落語が原点ということもあって、とても間口が広く観やすい作品になっています。面白い作品なので時代劇が苦手な方にも観てもらいたいです。
鑑賞日:2024年11月13日
鑑賞方法:Amazon Prime Video