福福吉吉

L.A.コールドケースの福福吉吉のレビュー・感想・評価

L.A.コールドケース(2018年製作の映画)
3.5
◆あらすじ◆
1990年代、2パックとノトーリアス・B.I.G.(ビギー)の二大ラッパーがアメリカを席巻していた。しかし、2パックが1996年、ラスベガスで射殺される事件が発生し、翌1997年にはビギーも射殺されてしまう。ロサンゼルス市警のラッセル・プール刑事はビギーの事件の担当をするが、解決できず担当を外されてしまう。
それから18年後、記者のダリアス・ジャクソンは過去の事件の特集の一つとしてビギーの事件を取り上げ、退職したプールのもとに取材に赴くのだが...。

◆感想◆
人気黒人ラッパー殺人事件について捜査を担当した元刑事が記者とともにその事件の真相を追うストーリーとなっており、元刑事の真摯な捜査姿勢を封殺してしまった警察内部の醜い仲間意識と防衛本能が描かれており、実際の未解決事件を取り扱っているので、その解決まで描き切れないものの、解決までの道を閉ざした原因が分かる内容になっていて興味深かった。

ストーリーは現在のラッセル・プール元刑事(ジョニー・デップ)に記者のダリアス・ジャクソン(フォレスト・ウィテカー)が会って、プールの話を聞くことで過去の経緯を描く形になっています。

ラッセル・プールはロサンゼルス市警の刑事であり、かなり生真面目で内部での不正を許さない人物として描かれており、人気ラッパーのビギーの事件の担当になります。彼は真摯に事件に向き合い、やがて警察内部に疑いの目を向け始めたところ、担当を外されます。そこには露骨なロス市警の封鎖的な内情があって、本作では警官の多くが事件を起こしていることが描かれていて、ロス市警のおぞましさを感じずにはいられませんでした。

一方、ダリアス・ジャクソンはビギーの事件を取材するべく、プールのもとを訪ねるのですが、最初はプールに適当にあしらわれてしまいます。ジャクソンは記者として手柄を立てたいためにプールに張り付くのですが、次第にプールの真摯さに煽られて、ジャクソン自身も事件の真相を探るべく動きだします。記者として落ち目だったジャクソンにとって刑事としてお祓い箱になってもひたすら事件の真相を追い続けたプールの執念に現在の自分に無いものを見つけたのではないかと思いました。

本作は事件の真相を明らかにすることが目的でなく、事件の真相を明らかにすることに全てを懸けたラッセル・プール元刑事の姿を描くことが目的であり、その目的という点ではしっかり果たしていたと思います。彼のような真摯な刑事が脇に追いやられることがあってはならないと痛感しました。良い作品だったと思います。

鑑賞日:2024年11月17日
鑑賞方法:CS ムービープラス
(録画日:2024年3月29日)
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