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ヴァチカンのエクソシストのtsubasaのレビュー・感想・評価

ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)
3.6
初代「エクソシスト」から続く神父が最後に悪魔に取りつかれて終わるあのフォーマットは理にかなっていたものだと今更ながら分からせてくれる作品だった。

ホラー映画というよりオカルトファンタジーとしてみたほうがわかりやすいと思う。
悪魔が登場する、といってもクリーチャーは出てこない。人間に取り付きその体を介して、酷いことを行ったり罵倒したり、目に見えない力でふっとばしたりえらい目にあわせたりするが目から怪光線ビームが出たり虫みたいのがうじゃうじゃ湧いたりしません。あくまでも人間の体を介しての口撃戦が主。
元祖の「ヴァチカン」もそうだけど「エクソシストもの」の面白さと怖さとは、元来悪魔に取り憑かれた人が変わり果ててた姿で襲ってくる所ではない。では何か?それは悪魔の心理戦。
悪魔は人の「後ろめたい出来事」を暴露して心理的に揺さぶり、身体に憑依することが最終目的であり、肉体的痛みや心理的恐怖はあくまでその過程。
その過程を楽しみに本作を鑑賞した人は物足りなさを感じてるのかも。

舞台になっている修道院の地下には、拷問具などの禍々しい器具が設置されていて、異端審問といえば政治的な思惑からユダヤ教徒やイスラム教徒からの改宗者などを対象に、残酷冷徹な拷問を行ったのはスペインのカトリックの歴史上の史実。本作では、この異端審問をしたカトリック教徒は実は悪魔に憑依されていたのだという説明になっいるのが斬新で面白かった。
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